中小企業庁は25日、同日に閣議決定された「2014年版中小企業白書」を公表した。それによると、2012年の「起業希望者」は83.9万人となり、1997年の166.5万人から半減した。

一方、2012年の起業家数は22.3万人で、1997年の28.7万人と比べて減少傾向にあるものの大きな変化はなかった。開業率が低い理由としては、「起業意識」「起業後の生活・収入の安定化」「起業に伴うコストや手続きの低減」の3つの課題があると指摘している。

起業の「担い手」の推移(出典:中小企業庁Webサイト)

起業家の7割強を占める自営業主の所得を調べたところ、2012年は「100万円未満」が32.4%、「200万円未満」が53.2%、「300万円未満」になると70.4%に上った。白書は、自営業者の所得が年々減少傾向にあることも起業希望者が減っている一因と分析している。

また、2012年は起業家における女性の割合が最も低くなっていることも判明。女性は男性に比べて、家庭との両立や社会経験の不足など問題が多く、起業を希望していても実際には実現しにくいと考えられる。

起業を断念しそうになった起業家は全体の26.3%で、このうち43.0%が相談相手はいないと回答。相談相手がいた場合においても、家族や友人などを頼る人が多く、税理士や商工会などの支援機関を選ぶ人は少なかった。

白書は、起業家教育やセーフティーネットの充実、起業家育成制度の構築などを求めている。