NTTドコモが10日に発表した新料金プランでは、国内の音声通話を定額にする「カケホーダイ」が目玉のひとつになっている。通話する相手や時間、回数に関係なく、月額2,700円の定額で話し放題となるのがカケホーダイの魅力だが、はたして月々どのくらい通話する人にとってメリットがあるのだろうか?

また、スマートフォン向け格安通話サービスなどを使っている人にとっても、カケホーダイはお得と言えるのか。本稿では、カケホーダイと現行プラン、さらに現行プランで格安通話サービスを利用している場合の通話料金について比較していきたい。

「カケホーダイ」は、月に何分通話するならお得?

まずは、ドコモの新料金プランのカケホーダイと、現行プランの「タイプXiにねん」を比較してみよう。

タイプXiにねんは2年契約のプランで、月額基本料は743円(以下、金額はすべて税抜)。ただし、無料通話分はなく、通話するごとに20円/30秒の通話料がかかる。一方、カケホーダイでは、2年契約により月額基本料2,700円で国内通話が話し放題になり、これ以上、国内通話料は一切かからない。現行プランでは、月額基本料は安いものの、通話するごとに通話料がかかるのに対し、カケホーダイはどれだけ通話しても月額2,700円の定額となるのがポイントだ。

現行プランでは月2,700円でどのくらい通話できるかを見てみると、まず2,700円から月額基本料を引くと2,000円弱となり、これを20円/30秒の通話料で割った場合、約49分間の通話に相当する。つまり、月に49分以上の通話をする人であれば、現行プランでは利用料金が2,700円以上となるため、カケホーダイのほうがお得になると言える。そして、より通話をする機会が多い人ほど、通話定額のメリットが大きくなる。

また、1カ月30日として、月49分の通話時間を割ると、1日あたり約1.6分となる。そのため、毎日1回、何かしらの電話をかけている人にとっては、通話時間が月に49分以上となるのは、そう珍しくないことだと考えられる。

「カケホーダイ」は格安通話サービスよりもお得?

現在、様々なスマートフォン向け格安通話サービスが提供されており、通話料金を節約する方法として注目を集めているが、現行プランでこれらの格安通話サービスを利用している場合と、新料金プランのカケホーダイでは、どちらがお得なのだろうか。ここでは例として、「楽天でんわ」と「LaLa Call」を取り上げよう。

楽天でんわは、専用アプリから発信することで、10円/30秒という通話料で電話をかけられる格安通話サービス。月額基本料は無料だ。現行プランのタイプXiにねんで楽天でんわを利用した場合、通話料が通常の20円/30秒から半額になるため、月2,700円で通話できる時間は約98分間になる。

また、LaLa Callは、専用アプリから050番号を使って発信できるIP電話サービスで、通話料は固定電話宛が8円/3分、携帯電話宛が18円/分。月額基本料は100円となっている。現行プランでLaLa Callを利用した場合、月2,700円で通話可能な時間をすべて携帯電話宛の通話だとして計算すると、約103分になる。

楽天でんわやLaLa Callなどの格安通話サービスを利用している場合、目安となる通話時間は約100分であり、月に約100分以上の通話をする人にとっては、新料金プランのカケホーダイのほうがお得になると言えそうだ。

月100分の通話時間を30日で割ると、1日あたりの通話時間は3.3分。また、休日はあまり通話をしないという人であれば、平日を月間22日と仮定して計算すると、1平日あたりの通話時間は4.5分となるため、仕事などでスマートフォンからよく電話をかける人であれば、通話時間が毎月100分以上となっていることも多いだろう。

なお、楽天でんわなどの格安通話サービスを利用するには、専用アプリから発信する必要があり、かかって来た電話に対し、通知パネルから折り返し発信できないなど、使い勝手に不便がある。また、LaLa CallなどのIP電話サービスの場合、電話をかけた相手に050番号が通知されるほか、パケット通信を利用した通話となるため、電波状況の悪い環境では音声品質が低下するといったデメリットもある。

一方、新料金プランのカケホーダイでは、特定のアプリに限定されることなく、電話アプリのほか、連絡帳やメール、Webブラウザなど、あらゆるアプリからの発信で国内通話を定額で利用できる。また、音声品質も安定しており、通話料を節約するのと引き換えに、何らかの不自由を強いられることがないのもメリットのひとつと言える。

*  *  *

ドコモの新料金プランのカケホーダイについて、現行プランや格安通話サービスと比べてみた。毎日、何かしらの通話をしている人にとっては、現行プランよりもカケホーダイのほうがお得になると考えられるほか、格安通話サービスと比べても月に約100分以上通話する人であれば、カケホーダイのほうが安くなる可能性がある。また、格安通話サービスのように、特定のアプリから発信しなければならないといった制限がないのもカケホーダイのメリットだ。

また、基本プランと一緒に利用するデータプランに関しても、月間のデータ通信量を1人または家族間でシェアできるパケットパックが導入されるため、使い方によっては、さらに1人あたりの利用料金をより抑えることが可能だ。これまで以上に通話を楽しみつつ、利用料金を抑えたいという人にとって、ドコモの新料金プランは最適なプランと言えるだろう。