金閣寺。言わずと知れた京都の名刹であり、修学旅行の定番スポット。その黄金の輝きは、訪れる者を魅了してやまない。残念ながら内部は一般開放されていないため、中の様子を伺い知ることはできないが、果たしてどれくらいの広さなのか? 間取りはどうなっているのだろう?
文献を参考に金閣寺の間取りを起こす
「金閣寺」。正式名称は鹿苑寺。室町幕府3代将軍・足利義満が晩年を過ごした北山殿の舎利殿(仏舎利を安置する建物)として、1397年に建てられたものだ(※現在の建物は1955年に再建されたもの)。二層・三層の外壁全面に金箔をあしらった豪華絢爛なたたずまいは、この世の桃源郷を思わせる。
そんな金閣寺の内部はどうなっているのか? その秘密を探るべく、国会図書館で金閣寺にまつわる文献を捜索。すると、『日本名建築写真集 金閣寺・銀閣寺』(新潮社)という書物に、1階から3階までの平面図が描かれていた。
こうして見ると意外とシンプルなつくりである。では、各階を詳しく見てみよう。
文献によれば1階・2階部分の広さは、正面が5間半(約9.99m)、側面が4間(約7.27m)であるという(『日本名建築写真集 金閣寺・銀閣寺』P.103より)。平米だと73㎡、実に44畳だ。思ったより広い。
もしも金閣寺に住むとしたら
調査の結果、かなりの広さであることが判明した金閣寺。これなら4~5人の家族でも十分に住めそうだ。そこで、仮に金閣寺が分譲住宅だった場合の住み心地を、間取り図から検証してみることにした。
とはいえ金閣寺にはトイレもお風呂もない。このままでは住めないので、まずは若干のリフォームを施す。
お風呂やトイレ、キッチンは一般的な住宅設備のサイズを勘案して配置してある。また、意外にも金閣寺には畳の部屋がなかったので、3階は床全面を畳敷きにした。
それにしても、水回りを入れてもこれだけのスペースが余っているとは、やっぱりかなり広い。
次に、家具を配置してみる。
というわけで、リビング、ダイニングキッチン、寝室と、それぞれのスペースをかなりゆったりとることができた。こうしてみると金閣寺というのは、現代の生活様式に照らしてみても実に使い勝手の良い間取りであることが分かる。さすがは義満公、天下人である。何が「さすが」なのかはよくわからないけど。
ともあれ、有名な建物で妄想するのは楽しい。次はスカイツリーとか、現代の有名建築物の住み心地も検証してみたい。