入社や部署異動など、何かと環境が変わりやすい春。新しく覚えることも多く、夜になるとぐったり……なんていうこともあるだろう。ただ、その疲労感が抜けずに翌朝まで残っていることはないだろうか? 「夜しっかり寝たつもりだったのに、朝まで疲れを引きずってしまう」「寝ても疲れが取れない」……。これらの現象の正体を探るべく、今回は「生理的疲労感」について紹介しよう。
「身体」と「気持ち」の疲労バランスの乱れが原因
新生活で環境が大きく変わった人がこの時期に疲労感を感じやすくなる原因としては、2つ考えられる。
ひとつは「身体の疲労」。慣れない環境で仕事や人間関係の要領がわからず、無駄な動きが多かったり、身体に変に力が入ったりして、筋肉など身体そのものが疲れている状態だ。 もうひとつは「気持ちの疲労」。慣れない仕事で緊張し、ストレスばかり感じてしまって、イマイチやる気が出ない。または「気持ちがついていかない」「面白みを感じられない」というように、気持ちそのものが疲れている状態を表す。
若いときは気持ちが疲れていても、身体の疲労感が少なければ、体力で乗り切ることができる。一方で身体が疲れていても、仕事が楽しくやる気に満ちあふれていれば、人は疲労感すら快感になることもある。だが、この「身体」と「気持ち」の疲労感のバランスが崩れてしまうと、寝ても取れない「引きずる疲れ」を感じてしまうのだ。
重症化すると、睡眠やメンタルに影響が出ることも
「寝ても取れない疲れ」と言いながらも、週末に少し身体を休めたり、友達としゃべったり、食事をしたりすることで解消できれば問題ない。ただ、「2週間以上疲れがずっと取れない」「次第に眠れなくなってきた」「会社を休んでしまう日が出てきた」などの症状が出てきたときには、迷わずに心療内科や精神科などに相談をするといいだろう。
また、年齢とともに、身体の疲労感を感じやすくなり、同時に解消しにくくなる。「疲れなんていつものことさ」とやり過ごさずに、身体の疲れ、気持ちの疲れを解消できる手段をきちんと身につけておくことが肝心となってくる。
「身体」「気持ち」の両方のメンテナンスを心がける
疲労感を取るには、休息が大事とされているため、きちんと睡眠を取ることは必須だ。睡眠不足になると疲労感は取れない。「疲れたな」と思ったらほかのことを優先せずに、まずは身体を休めることをしよう。あわせて、「身体の疲れ」を取るコツと「気持ちの疲れ」を取るコツも覚えておこう。
対策1 ビタミンC、ビタミンB群を積極的に摂取する
まずは身体の疲れの解消に努める。そのためには、食生活から疲労回復に効果的なものを積極的に摂(と)るように心がけよう。タンパク質はストレスが加わると大量に消費されるので、良質のタンパク質を意識的に食べるようにする。また、ビタミンB1、B6、B12も疲労回復効果がある。ビタミンB1は豚肉やうなぎに、B6はマグロやカツオ、鶏肉に、B12は貝類などに豊富に含まれている。良質なタンパク質も同時に摂取できるので、そういった素材を意識して食べるとよいだろう。ビタミンCはストレスへの抵抗力をつけてくれるので、タンパク質といっしょに食べるように工夫しよう。
対策2 疲労の原因となる乳酸を流す
疲れると、乳酸という疲労物質が身体にたまる。運動などをして筋肉痛になるのは、運動で筋肉繊維が傷つくのと同時に、この乳酸がたまっていることも原因と考えられている。乳酸が身体に蓄積すると、人は疲労を感じてしまう。乳酸は適度な睡眠や運動習慣などでたまりにくくなる。また、ビタミンB1が豊富な食事(豚肉、うなぎなど)を食べることや入浴、マッサージも乳酸をためないためによい。最近ではアロマセラピーも有効と考えられている。そのほか、入浴時はぬるめのお湯にゆったりつかるのがオススメだ。
対策3 「ご褒美イベント」を作ってやる気をアップ
「身体の疲れ」対策が終わったら、「気持ちの疲れ」対策に移ろう。個人差はあるものの、人はやる気になったり、興奮するような気持ちになったりするときには疲れを感じにくくなる。逆に「やりたくない」「つまらない」と感じると、同じ作業であっても途端に疲れを感じてしまうのだ。だから、自分でうまくやる気や達成感を促してあげるといい。例えば、週末は気が休まる友達とおいしいものを食べに行くとか、大きなプレゼンテーションの後に欲しかった物を自分にプレゼントするなどがそうだろう。上司に怒られた夜には、「よく我慢したな」と食べてみたかったスイーツを食べてみるなど、いいタイミングで「ご褒美イベント」を作ってやる気をアップさせよう。ただし、ご褒美ばかりの毎日は逆に効力がなくなってしまうので、適度に使うようにしよう。