45億円あまりが給付された年も!

"失業時に支給される求職者給付"のイメージが強い雇用保険。でも、雇用保険の仕組みのひとつに、資格を取得するなど個人の能力開発に対してお金を支払ってくれる「教育訓練給付金」という仕組みがあるのはご存知でしょうか? 4月で「新しいことを始めよう!」という気分になっている方、キャリアアップの費用の節約につながる、教育訓練給付金を活用してみてはいかがでしょうか?

雇用保険でスクール受講費を一部カバー

「教育訓練給付金」とは、一定の条件を満たす人が資格取得のために学校に通った場合、費用の一部が戻ってくる制度です。給付金は本人が直接ハローワークに支給申請を行い、ハローワークの審査の結果、支給決定がされたら本人へ支給されます。離職者だけでなく在職者も対象となるので、会社勤めをしながら講座に通うことも可能です。

教育訓練給付金がもらえるのは、下記の表の通り2パターンあります。いわば、数年かけて支払った雇用保険料の一部を、教育訓練給付金として払い戻してもらうといったイメージです。コツコツと自分が払った保険料で得た権利、使わない手はないでしょう。

初めて利用する人)
受講開始日までの間に、雇用保険の一般被保険者であった期間が通算1年以上の場合
以前、利用したことがある人)
前回の利用から受講開始日までの間に雇用保険の一般被保険者であった期間が、通算3年以上の場合

もらえる"受講費"にもルールがある

給付金は受講費の20%で、上限は10万円です。受講費が10万円を超える場合は、戻ってくるお金は10万円まで。戻ってくるお金が4,000円を超えない場合は支給されません。

また、一口に"受講費"といえども、一定のルールがあります。例えば、受講に必ずしも必要ではない補助教材やパソコンの費用、スクールまでの交通費などは対象になりません。こういったお金を含めて計算していると、「お金が戻ってこなかった!」ということもあり得るので注意しましょう。

お金が戻ってくるタイミングは、"講座修了後"であることも覚えておきたいことのひとつです。出席率や成績など講座ごとの「修了の認定基準」を満たして、初めてハローワークで給付金の申請手続きを始めることができます。

指定講座かチェックを忘れずに!

給付金の対象になるのは厚生労働大臣が指定する講座で、全国に約8,700講座あります。分野は、税理士や司法書士といった国家資格から、ブライダルプランナー検定、メンタルヘルス・マネジメント検定講座など多岐に渡ります。大切なのは、「教育訓練給付金の指定講座であることを確認すること」です。同じような講座でも、事業者やコースによって指定講座でない場合もあり、その場合は給付金対象とならないからです。

2012年度は、全国で約13万人に45億円あまりの「教育訓練給付金」が支給されたそうです。(日経2014年1月21日付)。この春、「新しいことを始めよう!」という人は、教育訓練給付金という制度があることも、頭の片隅に入れておきましょう。

筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。