帝国データバンク(以下、TDB)は17日、金融機関の「中小企業への融資方針」に関する調査結果を発表した。それによると、2014年度の中小企業への融資方針について「より積極的」と答えた金融機関は57.6%に上った。

同調査は、2014年3月5日~26日の期間に郵送・電話にて行われ、全国の普通銀行(信託銀行、ネット専業銀行は除く)、信用金庫、信用組合401機関から有効回答を得た。

まず、2014年度の中小企業への融資方針を尋ねたところ、「変化なし(前年度同様)」が37.9%で最も多かったものの、「積極的になる」の26.9%、「やや積極的になる」の30.7%を合わせると6割近い57.6%に達した。一方、「やや消極的になる」「消極的になる」はゼロだった。

業態別に見ると、信用組合では「積極的になる」「やや積極的になる」の合計は72.6%、このうち35.3%が「積極的になる」と答え、3業態の中で最も積極的な姿勢だった。信用金庫では「積極的になる」(合計)が54.7%。それに対して、銀行は「変化なし(前年度同様)」が46.3%を占め、比較的小規模な企業を主要顧客とする信用金庫・信用組合の積極的な融資姿勢が浮き彫りになった。

2014年度の中小企業への融資方針

融資方針が「積極的になる」「やや積極的になる」要因を聞くと、「経営方針」が83.1%でトップ。以下、「金融機関の競争激化」が49.4%、「景気の上昇見通し」が37.2%、「顧客業界の環境好転」が26.0%と続いた。

融資判断の際に重要視するポイントは、「経営者の資質」が56.4%で最も多く、次いで「事業の成長性」が53.6%、「取引状況全般」が53.1%となり、上位3項目はいずれも5割を超えた。

業態別に見た場合、銀行では「事業の成長性」が55.2%、「借入目的・使途」が47.8%、「経営者の資質」が44.8%、「ビジネスモデル」が40.3%。信用金庫では、「経営者の資質」が60.3%、「取引状況全般」が59.5%と、銀行・信用組合に比べて最も割合が高かった。信用組合についても、「経営者の資質」が54.9%、「取引状況全般」が52.9%と、「事業の成長性」の50.0%、「借入目的・使途」の35.3%を上回った。

貸付条件変更への対応方針は、「変化なし(前年度同様)」が88.3%に上った。

TDBは、金融機関の融資姿勢が積極化していることは、中小企業にとって「チャンスともいえる状況」にあるが、「金融機関と良好な関係を築き、前向きな資金調達を行うためにも、中小企業経営者は事業の現状と今後の計画を正確かつ具体的に示していくことがよりいっそう重要になる」と分析している。