一方、Windows XPからの移行先として、最新のプラットフォームであるWindows 8.1が、この春に更なる進化を遂げた。

Windows 8から8.1のアップデートでは8インチサイズのタブレット対応を推し進めたが、その結果として2013年第4四半期には26%のタブレット市場シェアを獲得している。競合他社の売り上げは横ばいとなっている中で、「2014年内には33%以上のシェアを目指したいし、実現可能だと考えている」と日本マイクロソフト 執行役 常務 コンシューマー&パートナーグループ担当の香山 春明氏は語る。

日本マイクロソフト 執行役 常務 コンシューマー&パートナーグループ担当 香山 春明氏

タブレット端末OSシェアは直近で26%まで上昇

Windows 8.1で向上したユーザビリティ

法人市場でもWindows XPからの置き換えが進む

近年、AndroidやiOSのスマートOSに押されがちだったWindowsだが、市場シェアの盛り返しをそのまま活かすべく、4月初旬に行なわれたWindows開発者会議「Build 2014」では、Windows OS関連情報のアップデートが行なわれた。

9日にアップデートされたWindows 8.1 Updateの提供だけではなく、日本ではしばらく新製品が登場していないWindows Phoneの最新版「Windows Phone 8.1」、9インチより小さいディスプレイの端末製造メーカー向けにWindowsライセンスを無償で提供する「ゼロライセンスプログラム」などがその内容だ。

「Windowsエコシステムの活性化に邁進していく」とは香山氏の言葉だが、日本国内で多くのユーザーが恩恵を受ける内容といえばWindows 8.1 Updateだろう。

「Update」は8.1に対してのアップデートであり、通常の月例アップデートのようにアップデーターはWindows Updateを通して提供される。あくまで8.1のUpdateであるため、大幅な機能改良とは言えないものの、ユーザービリティの改善は着実に進んでいる。

Updateの主な内容は5点。

  • 洗練されたユーザーエクスペリエンス

  • 低コスト&最新ハードウェアへの対応

  • Internet Explorerの互換性向上

  • 幅広いモバイルデバイス管理

  • より簡単になった企業内展開

ユーザーエクスペリエンスの変化は、主にタッチインタフェースのマウス操作改善に当てられた。8から導入されたスタート画面で利用できなかった右クリックメニューがUpdateで使えるようになったほか、スタート画面の右上に電源と検索表示されるようになった。

また、Windows 8アプリ利用時には表示されていなかったタスクバーが表示されるようになり、画面上部にマウスを合わせるとこれまでのようにアプリ名が表示されるタイトルバー(公式名称なし)が表示される。

低コスト&最新ハードウェア対応では、1GBのRAMメモリ、16GBのストレージが最低動作保証のスペックになった。日本のユーザーではあまり関係ないのではと思いがちだが、Windowsタブレットの拡がりを考えると、スペックの多様性はエコシステムの多様性に繋がり、9インチより小さいディスプレイのWindowsタブレットの勢力が拡がることが容易に想像できる。iPadの登場でタブレット市場が立ち上がったわけだが、のちにGoogleやAmazonが7インチ級のタブレットを登場させ、市場シェアを奪った。Appleも後を追うようにiPad miniを投入したが、その流れに遅れまいとマイクロソフトとしてもシェア確保を狙っているわけだ。動きとしては遅いように見えるものの、Android勢がセキュリティリスクから企業への導入が遅れている現状がある。また、Windowsストアアプリのアプリ数もマイナス要因に思えるかもしれないが、Androidのタブレット向け最適化アプリはiPadに比べて少ないため、そういった面でもため、巻き返す余地は残っている。

最新ハードウェア対応では、IntelのBay-Trailにも最適化しており、タブレット端末がより長時間駆動になる可能性がある。

3点目のIE互換性向上では、Enterpriseモードの提供を行なう。これは、Windows 8.1から提供されているInternet Explorer 11の拡張機能として提供されるもので、IE 11のブラウザ上でIE 8の動作環境を完全に再現するという。

実際に発表の場で行なわれたデモンストレーションでは、IE 8環境でしか動作しないWebアプリを通常のIE 11で閲覧。アクセス拒否されたあとにEnterpriseモードでアクセスし、実際に利用できることをアピールしていた。この対応は、企業が「一度使うものは長く使う」という一方で、対外的なWeb技術が早い進化を遂げているため、「その双方を使えるように」という目的で開発したものだという。

会場でIE11のデモンストレーション

見られなかったWebアプリが、Enterpriseモードで見られるようになった

4点目の幅広いモバイルデバイス管理では、新たなポリシーの追加設定や、アプリのホワイトリストとブラックリスト設定が容易になったため、5点目の企業内展開の容易化にも繋がっている。その企業内展開では、アプリの配布をWindowsストア以外でもできるようにサイドローディングで直接デバイスにアプリをインストールができる。基幹業務アプリについて、Windowsストアの審査を経ることに懸念を抱いていた企業ユーザーも、ストアを経由することなく直接インストールできるようになることで、よりこれまでのWindowsに近い感覚でWindows 8アプリのタッチインタフェースに最適化したものを従業員に配布できるようになるだろう。

ほかに、SkyDriveのOneDrive化や、自動同期の停止も

Windows 8.1 Updateの配布は4月9日に行なわれたが、奇しくもWindows XPのサポート終了日が同じ4月9日だった。この点についてUpdate提供を合わせたのかとの記者の質問に、Windows本部 本部長の藤本氏は「リリース日の調整には少し影響した可能性はあるが、開発自体には関係ない」と答えていた。