トヨタがこのほどマイナーチェンジを行った「パッソ」。今月14日の記者発表会では、開発責任者のトヨタ自動車 製品企画本部の鈴木敏夫主査が車両プレゼンテーションを行い、開発のポイントとして、「低燃費」「デザインの刷新」「安心、快適」の3要素を挙げた。

新型「パッソ」記者発表会は東京・青海の「MEGA WEB」で実施された

近年の欧州車では一般的な安全装備が「パッソ」に

鈴木主査は、「コンパクト2ボックスや軽自動車は、経済性や燃費性能に優れ、ファミリーからシニア、新社会人など、幅広い層の人に愛されている」とし、これら幅広い層に対応する必要性がある点を指摘。「通勤や送り迎えなど、日常用途で使い勝手が良く、さらに休日の買い物や遠方へのドライブなど、使用シーンもさまざま」とした上で、コンパクトカーといえども万能性が必要との認識を示した。

車両プレゼンテーションを行う鈴木敏夫主査

燃費については、最大熱効率37%を実現した1.0リットル高熱効率・低燃費エンジンを搭載したほか、圧縮比のアップやバルブタイミングの最適化などでエンジン効率を上げ、車速約9km/hで作動するアイドリングストップ機能などの燃費向上技術を採用。ハイブリッド車トップのトヨタ「アクア」(JC08モードで37.0km/リットル)や、軽自動車トップのスズキ「アルトエコ」(30.2km/リットル)には及ばないものの、ガソリンエンジン登録車としてはトップとなる27.6km/リットルの低燃費を実現している。

一方、デザイン面で鈴木主査が強調したのはバリエーションの豊富さ。今回のマイナーチェンジで、「パッソ(X、G)」「パッソ +Hana」という2つの個性を追求しており、「パッソ」では「スッキリ・きりっ・クール」をテーマに、ワイド感・低重心感のあるグリルを採用。ボディカラーは10色と豊富に設定され、インテリアもベンチシートとセパレートシートが選択可能となり、「選ぶ楽しさを提供」(鈴木主査)したという。

「パッソ +Hana」は「ポップ・キュート」をテーマとし、おもに女性をターゲットとした仕様に。丸いメッシュグリルや、パールホワイトに彩られたフォグランプベゼル・サイドミラー・ドアノブなど、かわいらしさを前面に押し出した。ボディカラーは「パッソ」より1色少ない9色だが、うち3色でホワイトルーフが設定可能だ。内装もソフトな肌触りのシートや、丸を基調としたメーター回りのデザインなど、ファニーな仕様となった。

クールなデザインの「パッソ」

ポップでキュートな「パッソ +Hana」

快適性に関しては、紫外線や赤外線をカットする「スーパーUVカット・IRカット機能付きグリーンガラス」をフロントサイドドアに装備。乗降りするときに自動でドアミラーが開閉する「オート電動格納式リモコンドアミラー」も装備した。

安全面では、VSC(横滑り防止装置)とTRC(トラクションコントロール)が標準装備に。雨や雪など、滑りやすい路面での安定性を確保する機能で、近年の欧州車ではABSやエアバッグ並みに一般的な安全装備となっているが、国産車のエントリーカーでは普及が遅れていた。急ブレーキ時に自動でハザードランプを点灯する「緊急ブレーキシグナル」ともども、トヨタのラインナップの中ではボトムラインにあたる「パッソ」全車に標準装備としたところに、トヨタの安全性に対する本気度がうかがえた。