3月26日から30日まで行われた「フィギュアスケート世界選手権2014」の女子シングルは、浅田真央選手の優勝で幕を閉じた。特にショートプログラム(SP)では、世界歴代最高記録となる78.66をマークする圧巻の演技を見せていた。この見事な優勝劇は海外でどのように報道されたのだろうか。今回はNBCスポーツの記事を紹介する。
「浅田真央のファンは『浅田引退』の準備ができていない」
NBCスポーツは3月29日付けの記事において、「Mao Asada wins World Championship; U.S. finishes with no medals」とのタイトルで浅田選手の金メダル獲得を報じている。
その書き出しは「浅田真央は引退するかもしれないが、彼女のファンは彼女がリンクを去っていくための準備ができていない」。浅田選手が会場のさいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市)につめかけた多くの日本人ファンにとって、いかに大きな存在であるかを記事内で説明している。
浅田選手のフリー演技は、「トリプルアクセルが回転不足だったことと、ダブルアクセルの着氷時にステップアウトしたというわずかなミスがあった」ものの、その演技には盛大な拍手が会場から送られたと紹介。そして、ソチ五輪のSPではふるわなかったとはいえ、浅田選手はほぼ常に女子フィギュアスケート界の偉大な選手の一人として認識されていたと紹介している。
「皇帝」プルシェンコの称賛コメントも紹介
さらにNBCスポーツは浅田選手のこれまでの功績について触れている。浅田選手は10年近くこの種目でエリートであり続け、年齢制限のために出場できなかった2006年のトリノ五輪の際に、すでに金メダルにチャレンジできる才能があったとしている。
そして、浅田選手は女子選手では数少ないトリプルアクセルの使い手として知られており、批評家やスケート仲間からも称賛を浴びていたと説明している。その記述のすぐ下では、4個の五輪メダルを持つエフゲニー・プルシェンコさん(ロシア)が浅田選手を「フィギュアスケートを次のレベルまで押し上げた」と褒めたたえているツイッターの内容を紹介。まるで浅田選手の一ファンかのように、浅田選手の偉大さを米国民に知らしめるかのような記事構成となっている。
実際、プルシェンコさんだけではなく、浅田選手と苦楽を共に分かち合った日本人の元フィギュア選手も、祝福のコメントを寄せている。安藤美姫さんは3月29日、自身のツイッターで「真央~おめでとう お疲れ~!!! 沢山の方の応援に答えた演技。本当おめでと!!! ゆっくり休んでね~」とつぶやき。織田信成さんも同日、「真央ちゃん優勝おめでとう! わーい! アクセル今日も男前!! 」と祝福のツイートを発している(共に原文)。
世界選手権3回の優勝は日本人最多
3度の世界選手権Vを果たした浅田選手。実はこの回数は、日本人では最多となる。歴代の優勝者は1989年の伊藤みどりさん、1994年の佐藤有香さん、2004年の荒川静香さん、そして2007年と2011年の安藤美姫さんだ。ちなみに佐藤さんの父親は、浅田選手が師事する佐藤信夫コーチ。その佐藤コーチが見守る中で、日本人最多となる優勝を飾ったのも何かの縁だろう。
浅田選手の代名詞でもあるトリプルアクセルを、女子選手として世界で初めて成功させた伊藤さんと、トリノ五輪金メダリストの荒川さんもそれぞれ1回しか優勝していない世界選手権。その大会で、浅田選手はギネスにも認定されたSP世界歴代最高記録をマークした上で3回も優勝している。NBCスポーツではないが、その偉業を知らしめたくなるのもうなずけてしまうほどのすごさだ。
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