ANAは2015年春、同社のCAとしては過去最多の500人を採用する。CA採用の現状も日々動いているのだが、そもそも外資系ではCA採用でどのような試験を行い、どのようなキャリア構成となるのだろうか。そこで、世界に多くのファンを抱えるエミレーツ航空の現役CAにうかがってみた。
現在、CAは約1万8,000人
取材に応じてくれたのは、2002年入社の大西久美子さん。ファースト、ビジネス、エコノミーの全てのクラスに乗務できるシニアフライトパーサーで、現在は乗務とともに商品開発部で活躍している。
同社はドバイ空港を拠点に計80カ国142都市を結ぶ巨大なネットワークを構築しており、そのラインを支えるCAは現在約1万8,000人。出身国は130カ国と、国際色豊かなことも特長のひとつ。日本路線(成田/羽田/関空)では1機につき最低6人以上の日本人CAを必須としていることもあり、現在、同社で活躍する日本人CAは約450人だという。
とはいえ、国籍別に採用枠を設けるわけではなく、募集も不定期に行われている。最近では2013年10月に募集があった。その際の応募資格・求める人物像は以下だった。
・高卒以上
・21歳以上
・爪先立ちで片手を伸ばした状態で、最低212cmまで手が届くこと
・航空機乗務に際し、健康状態が良好であること
・視力が良好であること(コンタクトレンズ可/矯正視力1.0以上、眼鏡不可)
・英語が堪能で、丁寧な日本語を話せること
・接客業務経験があれば尚可
・様々な文化背景を持った人々に対応できる人
・制服着用の際、見えるカ所に入れ墨がないこと
・前向き思考で、チームワークを守りながら素晴らしいサービスを提供できる能力を持った人
特に語学で資格が必要ということはないが、試験は英語で行われるため必然的に英語力が求められる。また、大西さんは英語のほかトルコ語を習得されていたが、「そういえば面接の際、トルコ語が話せることをアピールしないままでした」とのこと。使える言語が多いに越したことはないだろうが、言語力よりも重視されるところの方が大きいのかもしれない。
国際感覚を試されるディスカッション
では実際、どのような試験が行われるのだろうか。大西さんが試験を受けた2002年度だと、一般常識や英語力を問う筆記試験、グループディスカッション、最終面接という3工程だったそうだ。その中で特に「エミレーツらしいな」と感じたのが、グループディスカッションだったという。
「架空の人物6名を、2人1組のルームメイトにするというお題でした。その6人は国籍や年齢、性別も異なります。そのグルーピングに対して、『なぜあなたはそのグルーピングにしたのですか』などと理由を求められます。その人物の中にはムスリムもいればクリスチャンもいます。私はその試験において、世界的なバックグラウンドを理解しているか、また、考察力・順応力が備わっているかを見られているように感じました。いろいろな国籍の方と接する企業だからこそ、求められる力ではないでしょうか」。
CAはまず、エコノミークラスの乗務から始まり、試験を経て、ビジネスクラス、ファーストクラス、シニアフライトスチュワーデス(スチュワード)、パーサーとキャリアを積んでいく。パーサーになるには短くて5年、平均で7年かかる。また、同社ではCA枠として募集を行っているが、大西さんのようにCAの経験を生かして商品開発部などほかの部署に移動する人もいる。実際、大西さんは志願して商品開発部に移られたようで、現場での要望を知っていることが、今の業務の中で大切なことだそうだ。
福利厚生でラクダ乗り!?
同社では月に1回程度、全社員を対象としたアクティビティーを会社の支援で行っており、サッカーやバレー、オーケストラなどの部活動も盛んだという。また、一芸を競い合う大会もあるそうだ。
「アクティビティーは日帰りですが、アイススケートやラクダ乗りなど、いろいろな企画があります。自由参加なので、『今週末は空いているから』と気軽に参加できます。一芸を競い合う大会は、その人の個性を尊重するエミレーツならではの特色だと思います。この大会は乗務員が対象なのですが、他の部ではまた別の大会があるのかもしれません」。
ちなみに、大西さんはエミレーツには転職で入社されたそうだが、前職はIT企業のマーケティングだったそう。「もともと旅行好きということもありましたが、何か違ったことに挑戦してみたいという気持ちの方が大きかったです」という。年齢制限はないので、興味を持たれた方、ちょっと募集をチェックしてみてはいかがだろうか。もちろん、男性もOKである。