iPhoneケースやフィルムの専門店「SHOWCASE」。秋葉原に店舗を構え、高品質な本革ケースやイヤホンジャックに収納できるペンなど、バラエティに富んだこだわりのiPhoneアクセサリを販売している。
そんな「SHOWCASE」が、店舗オープン2周年を記念して、4月より画期的な新サービスを開始した。なんと、店頭で購入したiPhoneケースやフィルムなどすべての取扱製品について、ユーザーの過失や期限に関わらず「永久保証」を行うというのだ。
家電などではおなじみの保証サービスだが、iPhoneアクセサリ、それも「永久」をうたった保証はちょっと他では見かけない。
どういった経緯でこの「永久保証」サービスを始めるに至ったのか。その狙いはどこにあるのか。「SHOWCASE」を運営する株式会社KODAWARI代表取締役・田村洋祐氏にお話を伺った。
――まずは今回の永久保証サービスについて教えていただけますか。
田村「店舗でご購入いただいた製品すべてについて永久保証させていただくサービスですね。壊れた製品をお持ちいただければ、同じものと交換し、壊れた製品は回収させていただきます。もし製品そのものがないという場合は、それよりも低い価格の製品との交換となります」
――保証書などが必要になるのでしょうか。
田村「保証書はつけません。普通はこういうときレシートが必要になるのですが、レシートって絶対になくすものなんですよ。壊したときのことを考えてとっておく人ってなかなかいないんですね。そこで永久保証サービスでは会員登録していただくことで、名前や本人確認ができればOKというやり方にしています」
――保証の対象外になる場合はあるのでしょうか。
田村「故意の破損であると判断できる場合や、製品の使用に問題ない状態と判断した場合はお断りさせていただくこともあります。あからさまなところに対して線引しているだけなので、お客様の過失であっても交換させていただきます」
――故意かどうか判断できない場合もありそうですが。
田村「判断できない場合は交換させていただきますね。そういう意味ではこれが通用するのは日本だけだと思いますよ。そこは国民性を信じています(笑)」
――家電ではこうした保証サービスはありますが、それもメーカー保証で1年、店舗保証で5年など期限付きが普通です。iPhoneアクセサリで永久保証というのは他にはありませんよね。
田村「ないと思います(笑)」
――こう言うのも何ですが、よく踏み切れましたね。社内では反対意見もあったのでは?
田村「たしかに反対意見もあったのですが、話し合った結果、経営的にもメリットが大きいということで実施することにしました。というのも、iPhoneアクセサリは金額が安いものが多いので、1,000円や2,000円の商品を交換するために時間と電車賃を使ってお客様が店舗に来られるかというと、それはなかなかないと思うんですね。それに、10年や20年も同じものを使うかというと、その可能性も低い。その点では家電の保証とは違いますので、だからこそ永久保証に踏みきれたというのはあります」
――ではなぜ今回の保証サービスを行うことにしたのでしょうか。
田村「先ほども申し上げた通り、iPhoneアクセサリの売れ筋は、1,000円や3,000円といった比較的安い商品です。しかし、中には1万円や2万円を超えるような高級iPhoneケースもあるんですよ。それを落として壊してしまうというのは、仮にお客様の不注意であってもかわいそうじゃないですか。iPhoneケースは落とすものですからね。それなら、そこを永久保証することで安心して買っていただこうと考えたのです」
――たしかに永久保証がつくと高額なアクセサリは非常に買いやすくなります。安心感が違いますよね。
田村「まさにそこは弊社が大切にしているコンセプトなんですよ。たとえば高級ケースだとパッケージに入っている状態で売られていたりして、装着感がわからないことも多いですよね。だけど、『SHOWCASE』ではそうではなく、すべて試着して気に入ってもらえたら買っていただくという"安心感"を売りにしています。今回の永久保証サービスも、そういった安心感というショップのコンセプトの延長線上にあるものなんです」
――とはいえ、かなり思い切ったサービスだと思います。狙いはどこにあるのでしょうか。
田村「一番はお客様に店頭まで足を運んでもらう機会を増やすことですね。弊社では『SHOWCASE ONLINE』というECサイトも運営していますが、今回の永久保証サービスは店頭のみのサービスとなります。店頭にきていただくことで、他の商品を見たり、店員と話したりといった、オンラインでは味わえないメリットを感じていただければと思っています」
――店舗なら思わぬ商品との出会いもありますし、スタッフの方にアドバイスももらえますよね。
田村「そうなんです。たとえば革のiPhoneケースでもいろいろあるんですよ。『SHOWCASE』ではアルゼンチンから輸入している『Vaja』という本格牛革ケースがあるんですが、それと他の革、たとえば狼の革などを比べると見た目は同じでも手触りがぜんぜん違うんですね。また、耐久性なども製品によって変わります。そういう説明を聞けたり、実際にさわって確認できるのは店頭ならではの安心感です。フィルムにしても店頭であれば貼るサービスも行っていますから、苦手な人でも安心できると思います」
――今後の展開についてはいかがでしょうか。
田村「4月に店舗をリニューアルする予定です。今までの経験を生かして、より入りやすい雰囲気にしていこうと思っています。永久保証サービスについては臨機応変に経営判断していきたいので、1年後や2年後にどうなっているかは正直わかりません。現時点では保証料金は一切発生していませんが、場合によっては保証料金を上乗せした定価になる可能性はあります。ただ、それでも高級なものを購入するときは安心できますから」
これまでになかった「永久保証」という試みに挑戦する株式会社KODAWARI。その社名が表す通り、「安心して買ってもらえるように」という同社ならではのこだわりが生み出したサービスだと言える。
あまりにも実験的すぎて、今後どうなっていくのかは同社ですら予想がつかないところがあるのだが、ひとつだけ確かなことがある。それは、ユーザーとしては無条件に嬉しいサービスだということだ。
ちょうど季節は春を迎え、新しくiPhoneを購入する人も多いだろう。せっかくなら、永久保証サービスのついた「SHOWCASE」でちょっと奮発してみるのも良さそうだ。