米Googleが間もなく「Android TV」と呼ばれるTV向けの新プラットフォームを発表するという噂がある。過去に「Google TV」で同分野へと参入したGoogleだが、初代での失敗を受けてベースをAndroidへと変更したものの、戦略的にはそれほど注目を集めているとはいえない。後にコンテンツ再生に特化した「Chromecast」をリリースしているが、Android TVは主にこの路線を狙っていくようだ。

Google TV

Chromecast

同件はThe Vergeが入手した内部資料を基に報じている。前述のように、リビングルーム攻略に向けて複数のパートナーとの協業で「Google TV」対応デバイスをリリースした同社だが、大量の在庫が報告されるなど第1世代目のデバイスはビジネス的にほぼ失敗したと考えられており、Androidをベースにインターフェイスを一新した第2世代のデバイスが2年ほど前にリリースされた。

だが、引き続き注目を集めているとは言い難く、昨年2013年夏にはChromecastというTVのHDMI端子に挿入する小型のスティック型で安価なデバイスがリリースされ、主に家庭内ネットワークのスマートデバイス内のコンテンツやオンラインからのストリーミングなど、コンテンツ再生に特化する形で若干敷居を下げることに成功している。 これまで米国ではCATVや衛星放送につなぐ形で提供されてきたSTB(セットトップボックス)市場を狙うべく、さまざまなIT系ベンダーが参入を試みてきたが、差別化のためにインターフェイスが複雑性を増し、さらに価格へと転嫁される傾向があったため、ことごとく失敗してきた経緯がある。

STBはTVへの入り口となるため、この部分を握ることでさまざまなサービスや新たなビジネスの展開が可能になる。だが実際のユーザーのTVにおけるニーズはWebブラウジングやオンラインショッピングではなく、NetflixにしろHuluにしろ、各種コンテンツを自由に再生できるプレイヤーであり、米国内で販売されるTVではこれらコンテンツ再生対応がセールスポイントの1つとなっている。各コンテンツ再生をアプリの1つとしてサポートし、後によりインターフェイスをシンプル化してデバイスの低価格化を図った製品はApple TVをはじめ一定の成果を挙げており、GoogleもChromecastで一定のニーズがこの部分にあることを認識していると思われる。

The Vergeによれば、間もなく発表されるとしている「Android TV」ではGoogle TVの第2世代同様にAndroidがベースとなっているものの、主にインターフェイスのシンプル化に焦点を当てた「TV用途とコンテンツ利用に最適化されたプラットフォーム」を目指しているという。コンセプト的には前述のようにApple TVやRokuといったデバイスに近く、内容的にはAmazon.comが先日発表したFire TVに酷似しているという。アプリを使って対応サービスを増やす形態で、Android向けに提供されているゲーム等も利用できる可能性が高い。その意味では、PlayStation 4やXbox Oneといったデバイスとの中間にも位置する。GoogleではAndroid TV向けの開発者情報を提供してコンテンツ対応を推進していく意向で、おそらくは6月末開催のGoogle I/Oにおいてこのあたりの発表が行われる可能性がある。

(記事提供: AndroWire編集部)