米Amazon.comがオンラインとオフラインを結びつける、本当の意味で"魔法のような"デバイスを発表した。「Amazon Dash」はスティック状のデバイスで、特定の商品のバーコードを読み取ったり、音声マイクで検索を行うことで商品を購入予定リストへと追加し、後でPCやスマートフォン等からAmazon.comにオンライン注文が可能になるというものだ。
Amazon Dashは現在トライアル期間で無料提供されており、同サイトでサインアップしたユーザーを対象に利用可能となっている。ただし、この"魔法の杖"のようなデバイスで購入するのはデジタルガジェットや本ではなく、主に食品や日用品が対象となっている。例えば冷蔵庫や棚をチェックして、ストックが切れそうだと判断したらAmazon Dashでバーコードをスキャンするか、もしくは音声マイクを使って対象商品を次々とリストへと登録していき、後でスマートフォンやPCに座ったときにまとめて注文を行うといったスタイルだ。そのため、利用にあたっては生鮮食品や日用品の配達を行うAmazonFreshを活用する必要があり、Reutersによれば同サービスの提供エリアとなっている、Amazon.com本社のあるワシントン州シアトル、南カリフォルニア地区(ロサンゼルス等)、同州サンフランシスコといった都市のユーザー限定のサービスという扱いとなる。
小売店各社がオンラインとオフラインを結びつける、いわゆる「O2O」の仕組みの提供に腐心するなか、Amazon DashはO2Oの新しい可能性を拓く。小売店各社のO2Oが来店機会を増やしてユーザーの購買意欲を刺激する方向性のなか、Amazon Dashは生活密着型で「必要なものをすぐにオンライン注文できるようにする」ためのデバイスであり、頻繁にスーパーへと買い物に行くことなく、ある程度の目的を果たすことを可能にする。その意味で、来店機会を増やすことを目的としているライバル各社とは真逆の存在といえるかもしれない。