映画『サクラサク』の初日舞台あいさつが5日、都内で行われ、キャストの緒形直人、南果歩、矢野聖人、美山加恋、藤竜也と田中光敏監督が出席した。

映画『サクラサク』の初日舞台あいさつに出席した緒形直人(右)と南果歩

さだまさしの同名小説を実写化した同作は、家族の再生をテーマに描いたロードムービー。仕事一筋に生きてきた俊介(緒形)は、父親が認知症を発症したことをきっかけに、崩壊寸前の家族と向き合うことになる。家族旅行を強引に決行した俊介は、その旅の中で、妻や子どもたちの思いを知る――というストーリーで、映画は全国公開中。

主演の緒形は、「一丸となって心を込めて作った作品。これからの事を考えるきっかけになれば」と胸を張ってアピールし、妻・昭子役の南は「この作品に出会えて本当に幸せです」と感極まって涙。同作の内容にちなみ、家族にとって大切なことを聞かれた緒形は、「時にはキチッと目を合わせて話すことと、ありがとうという感謝の気持ちを伝えること」と話すと、南に「緒形家はいつもやってる!」と突っ込まれて、照れ笑いしていた。

トークショーでは、長男・大介役の矢野が緊張で上手く話せず、南に「ハッキリしゃべりなさい!」と喝を入れられ、笑いを誘う場面も。その様子に、「私はお兄ちゃんと違う」と苦笑いしていた長女・咲子役の美山は、今年の目標を聞かれ、「大人になろうかなと思ってる。みんなをビックリさせようと計画中です」とにっこり。また、認知症という難しい役どころに挑んだ藤は、「俺は来年も桜を見ること」と話し、緒形は「いつまでもお元気で」と声を掛けていた。

舞台あいさつ終了後は、俳優の蟹江敬三さんが先月30日に胃がんのために亡くなったことを受け、田中監督が報道陣の取材に応じた。同作と同じく、田中監督が手掛けたさだ原作の『精霊流し』(2003年公開)に蟹江さんが出演しており、「残念です。日本映画界にとっても本当に惜しい方を亡くした」と沈痛の面持ち。また、蟹江さんの長男で俳優の蟹江一平が、同作のラストシーンに出演していることを明かし、「一平さんのお芝居には、お父さんの面影があった。蟹江さんに『息子さんは、素晴らしい役者さんになる』ということを話したかった」と痛恨の表情を浮かべていた。