説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「au版iPhoneは通話中に通信できない、ってどういうこと?」という質問に答えます。

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au/KDDIの第3世代通信回線では、「CDMA2000」という通信方式を採用しています。この通信方式は音声通話とデータ(パケット)通信を切り替えて使うしくみのため、音声通話とデータ通信を同時処理できません。具体的には、電話しながらWebブラウジングやメールの送受信を行うことができないのです。誰かと話しながらマップを表示したり、アプリをダウンロードしたりすることはau版iPhoneではできません。

そのため、au版iPhone向けには「割込通話サービス」が無償提供されています。このサービスは初期設定で有効にされているためあまり意識されませんが、音声通話中に別の着信があったとき保留にして応答するキャッチホンとしての機能のほか、データ通信を行うアプリを使用中に着信があったとき通話を優先する役割も果たします。通話終了後は自動的にデータ通信が再開されるため、不便を感じることはないでしょう。

ただし、データ通信網を利用した音声通話機能(インターネット電話、VoIP)は、利用中に電話番号への着信があると切断されてしまいます。会話が突然途切れるわけですから、この場合はCDMA2000のデメリットを感じるかもしれません。

ソフトバンクとNTTドコモのiPhoneは、音声通話とデータ通信を並行して処理できる通信方式「W-CDMA」を採用しているため、上述したような心配はありません。どのキャリアもLTE通信時は音声通話とデータ通信を同時処理できないため、着信があると3G回線へ自動的に切り替わりますが、ソフトバンクとNTTドコモの3G回線はW-CDMA方式のため音声通話しながらデータ通信できるのです。電話しながらマップを表示したりメールを受信したり……といった使い方にこだわる場合には、ソフトバンクまたはNTTドコモでiPhoneを契約することをお勧めします。

au版iPhoneでは、携帯電話番号に着信があった直後にデータ通信が切断されます。W-CDMAを採用するソフトバンクとNTTドコモのiPhoneでは、このような現象は起きません