守屋多々志《慶長使節支倉常長》1981(昭和56)年 紙本・彩色 山種美術館

東京都渋谷区の山種美術館は5月17日~7月13日、「クールな男とおしゃれな女ー絵のなかのよそおい」を開催する。

江戸絵画や浮世絵、近代・現代の日本画や洋画の男女の着こなしを紹介

同展は、江戸絵画や浮世絵の粋なよそおいから、近代・現代の日本画や洋画に描かれたモダンなよそおいまで、各時代のスタイリッシュな男女の着こなしを紹介する展覧会。

上村松園《春のよそをひ》1936(昭和11)年頃 絹本・彩色 山種美術館

橋本明治《舞》1966(昭和41)年 紙本・彩色 山種美術館

「クール・ジャパン」が一つの流行語にもなりつつある昨今、流行がめまぐるしく移り変わるファッションの世界においても、日本人の美意識を活かした洋装や、伝統的な和装を楽しむ人が増えている。特に最近は、美術館が和服を着て出かける場所としても好まれ、同館でも年間を通して、多くの美しい着物姿の来場者を迎えているという。こうした現象は、日本人が古くから培ってきた美意識や文化が注目され、そこに新たな価値観が見出されてきた証といえる。

一方、西洋文化が入ってきた近代以降は、洋装に身を包むダンディな男性、トップモードで着飾る女性も時代のファッションリーダーとして常に注目される存在だった。こうした各時代の特徴あるファッションは、画家たちをも魅了し、近世から現代にいたる様々な絵画作品の中に描かれてきた。日本の絵画の中の 「よそおい」もまた、時代とともに変遷し、流行を敏感に映し出しているという。

鳥居清長《社頭の見合》1784(天明4)年頃 大判錦絵(2枚続) 山種美術館〔後期展示6月17日-7月13日〕

同展では、小林古径の雅な平安装束姿の色男、安田靫彦や前田青邨の独創的な出で立ちの戦国武将。写楽や豊国が描く役者たちの舞台衣装に、池田輝方の江戸っ子の粋な着流し姿などを展示。各時代の最先端を行くクールな男たちのよそおいに、現代の私たちも大いに刺激される。

また、女性像では、伊東深水が描く女優・木暮実千代の華やかな洋装、鏑木清方の艶やかな女性や上村松園の清楚な娘の和装。さらに、洋画家・安井曽太郎や林武が描く小粋な衣服。こうした作品には、顔の表情だけでなく装身具や髪形、色の組み合わせにも、人物の個性や魅力が巧みに描き出されている。随所に表れた画家の美意識や色彩感覚を味わい、着こなしのヒントを発見しながら、絵の中のファッションを思い思いに楽しめる展覧会となるという。

会期は、5月17日~7月13日。前期・後期で一部展示替えあり(前期:5月17日~6月15日、後期:6月17日~7月13日)。会場は、山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)。開館時間は、10時~17時(入館は16時30分まで)。休館日は月曜日。

入館料は、一般1,000円・大高生800円・中学生以下無料。なお会期中は「きもの割引」として、着物での来館者は団体割引料金(一般:800円、大高生:700円)で入館でき、プチギフトも用意する。その他、詳細は同館Webサイトを参照のこと。