ICT総研は3月27日、全国のローカルエリア計100地点で通信速度実測調査を実施し、その結果を公開した。同調査は携帯電話事業者3社のiPhone/Androidスマートフォンを利用したもので、ソフトバンクモバイルが平均ダウンロード、アップロードともに最速を記録したという。
同調査は、一般的な電波実測調査では対象になることの少ないローカルエリアを対象としたもの。主にドライブでの外出先になりやすい、サービスエリア・パーキングエリアやゴルフ場、神社・仏閣、道の駅など計100地点で計測した。調査期間は3月8日から22日まで。調査対象はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル各社のiPhone 5cおよびAndroidスマートフォン。通信速度測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用し、各計測地点の施設入口付近でダウンロードおよびアップロードの速度を3回ずつ測定した。
調査結果をキャリア別に見ると次のようになる。ソフトバンクはダウンロード、アップロードともに最速だった。iPhoneはダウンロードが平均23.10Mbps、アップロードが平均8.94Mbps、Androidはダウンロードが平均24.16Mbps、アップロードが平均9.43Mbpsという結果で、機種別で見てもトップとなった。この結果について同調査は、ソフトバンクがこれまでの調査で地方の通信環境が弱かった点に触れ、「ローカルエリアの中では人が集まる地点を対象としたとは言え、都市部を対象としていない今回の調査によって、その傾向は大いに改善されていることが確認された」と評価。ソフトバンクが2.1GHz帯と1.7GHz帯で提供してきた「ダブルLTE」をそれぞれダウンロード最大75Mbpsに高速化した「倍速ダブルLTE」が今回の好結果に寄与しているとの見解を示した。
続いてauだが、同社は全体的に次点が多かった。iPhoneはダウンロードが平均20.86Mbps、アップロードが平均7.64Mbps、Androidはダウンロードが平均23.02Mbps、アップロードが平均7.73Mbpsという結果。ダウンロードにおいてはiPhone、Androidともに20Mbps超と安定した速度を記録した。この結果について同調査では、KDDIが注力する「800MHz帯」のLTE通信がローカルエリアであっても幅広くエリアカバーされていたためと分析している。なお800MHz帯は、電波が遠くまで届き、障害物を回り込むなどの特性を持つため、無線通信に最適な周波数帯域と言われている。
NTTドコモについては今回の調査では劣勢だった。iPhoneはダウンロードが平均18.73Mbps、アップロードが平均5.40Mbps、Androidはダウンロードが平均23.08Mbps、アップロードが平均5.63Mbpsという結果。iPhone、Androidともにアップロードがふるわず、ダウンロードでも他2社に後れを取った。ただし、Androidのダウンロードにおいては6地点で50Mbps超を記録。この結果について同調査は、ドコモが最大112.5Mbps(最大150Mbps)のダウンロード速度に対応したエリアを拡大している点を挙げ、このような「いわゆる爆速地点」が増加したとしている。
このほか、調査結果をエリア別に分けて見ると次の通りとなる。ダウンロード最速は四国エリアで平均25.9Mbps、次いで北海道エリア(平均22.98Mbps)、九州エリア(平均22.92Mbps)だった。また、アップロード最速は中国エリアで平均9.44Mbpsだった。
今回計測したローカルエリアの通信速度に対して同調査は、「ほとんど全ての地点でLTEでの高速データ通信を記録できた」と評価。「本格的にLTEが普及し始めてから約1年半という短期間での高速モバイルデータ通信環境の整備状況には驚かされる」とコメントしている。なお、調査の詳細はICT総研のWebサイトで確認できる。
なおマイナビニュースでも、各社のiPhone/Androidスマートフォンで速度計測を実施し、その結果を紹介している。同調査は、都内のお花見スポット10カ所で実施したもの。こちらもソフトバンクがダウンロード・アップロード、iPhone・Androidともに最速で、その理由として、前述の「倍速ダブルLTE」の影響を挙げている。本稿とあわせてチェックして欲しい。