俳優の中村俊介演じる名探偵・浅見光彦が難事件の真相を暴く『浅見光彦シリーズ50 貴賓室の怪人』(フジテレビ系 4月4日21:00~22:52)の原作誕生秘話がこのほど、公開された。

『浅見光彦シリーズ50 貴賓室の怪人』について語る原作者・内田康夫氏

今作で第50作目を迎える"浅見光彦シリーズ"は、1995年から放送されている内田康夫原作の人気サスペンス。今回放送される第50弾作品では、豪華客船という"巨大な密室"を舞台に起きる不可解な殺人事件に浅見が挑む。撮影は飛鳥II内で行われ、秋田県酒田港を出発し、ロシアのウラジオストク港で下船して撮影し、"浅見シリーズ初"の海外ロケも敢行した。

原作『貴賓室の怪人』(講談社文庫刊)は、原作者の内田氏が自らの趣味である"船による世界一周旅行"の経験を元に書いた作品。内田氏は、浅見シリーズで海外を舞台にした事件がなかったのは「浅見が私と同じで、飛行機が苦手なため」と明かし、「でも船旅なら大丈夫だろうと考えました。タイミングよく私自身が船で初めての世界一周に出掛けるところだったこともあり、取材を兼ねてのワールドクルーズになりました」と執筆の経緯を説明。そして「船は一種の大きな密室でもあるので、その意味でもミステリーにはピッタリ」と船の魅力を語った。

「今回の浅見と同じで、私もまだ船旅ビギナーでした」と振り返る内田氏。取材を兼ねての世界一周旅行は、「浅見が感じたであろう乗船したときの喜びとか驚き、楽しみといった感情を、自分の感覚に置き換えられたのが良かった」と収穫もあったという。また、「船内の独特のしきたりとか、仕組みとか、陸上とは異なる点がいろいろとあったのも面白かった」ようで、「"もし船内で人が死んだらどこに安置されるのか?"ってクルーに取材しました。けげんな顔をされましたけど(笑)」とエピソードを明かした。

船では、乗客やクルーの人たちが乗船や下船する場合、パスポートのようなIDを見せる義務があることから、「そのルールが密室を生み出す…という点をどうやったら打破できるかは熟考しましたし、乗客とクルーという限られた人数の中で、どうやって犯罪が行われるか?は悩みましたね」と執筆時の苦悩も告白。「作品の舞台である飛鳥IIで実際に撮影したことがなんといってもすごい」とドラマの見どころを語り、「私役を演じられる伊東(四朗)さんがどのような演技をするのかも楽しみにしていただきたいです。ぜひ"内田康夫って人間を上品にするとこうなるんだ!"って想像しながら見てください(笑)」とメッセージを送った。

浅見光彦役の中村俊介も「今回の見どころは本当に、"飛鳥II"だと思います!」と断言。「この船の素晴らしさと、その船の中でこんな殺人事件が起きて、浅見がどう解決していくのか、その辺が一番の見どころ」と語り、「数ある浅見光彦作品の中でも一風変わった作品だなぁと思いました。ほとんど船の中にいるので(笑)」とこれまでにない作品になったと手応えを感じている。

豪華客船・飛鳥Ⅱ

俳優の中村俊介(右)と女優の藤澤恵麻(左)

飛鳥II船内でのシーン

初の海外ロケとなったロシアでのシーン