米Facebookは3月25日(現地時間)、Oculus Riftなどの仮想現実ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を開発する米Oculus VRを約20億ドルで買収したと発表した。そのうち4億ドルがキャッシュで、残りをFacebookの普通株で割り当て、2014年第2四半期にも買収が完了する見込みという。頭の動きに連動して全天周囲モニターのような環境を作り出すことが可能で、初期のころからゲーム等のVR環境との相性のよさでデモ環境が構築されてきた。Facebook CEOのMark Zuckerberg氏はモバイルの次の「未来」を作り出す技術だと評している。
Oculus Riftは製品のプロトタイプが2012年のE3でデビューし、同年夏にスタートしたKickstarterのクラウドファンディングで240万ドルの資金調達に成功したことが知られている。単に大画面スクリーンとして機能するHMDとは異なり、加速度センサーやジャイロスコープなど、装着者の動きを追跡するセンサーが搭載されており、その動きに合わせて視界が変化するという特徴を持っている。
そのため、より臨場感あふれるVR環境を表現できる。その後、開発用ハードウェアやソフトウェアの提供が開始され、同システムを利用したアプリケーションの開発がデベロッパーらの間で進められている段階だ。現在、DK2と呼ばれるより性能が向上した開発キットの新バージョンが登場しており、事前注文を受け付けている状態だ。Facebookによれば、すでに開発キットだけで7万5000以上のオーダーを受けており、非常に期待度が高いデバイスであることがうかがえる。
問題は、このOculus RiftをFacebookがどのようにソーシャルの世界と結びつけるのかという点だ。自身のFacebookへの投稿の中でZuckerberg氏は(https://www.facebook.com/zuck/posts/10101319050523971)、まず同デバイスがゲーム世界をより臨場感あるものにする製品でゲーマーからの期待が高いことを挙げつつ、次なるステップへの架け橋であり、それを支援することが買収の目的だと説明している。例えば教育現場や医療現場、そしてさまざまなコミュニケーション場面など、VR環境が役立つシーンを紹介している。いずれにせよ、直近の段階で現在のFacebookとはリンクしなくても、いずれはコミュニケーションという観点で活用範囲の広がるデバイスと技術という認識だとみられる。なお、Oculus VRは現在の本社である米カリフォルニア州アーバインの拠点をそのまま維持し、製品開発を含めた活動を続けていくことになるという。
(記事提供: AndroWire編集部)