この日は火曜日最後のオンエア。オープニングでは、「まだ5日間ある」タモリと、「この日で終わり」のレギュラーとの温度差がくっきり。しかし、そのローテーションを中居正広にボヤかれていたタモリが「最終日なのでメンバーと1対1のテレフォンをやります」と宣言。メインゲストに続いて特別編をやるというのだ。

『笑っていいとも!』に出演したDREAMS COME TRUEの吉田美和

24金のトランペットに笑顔

CMが開けるとメインのDREAMS COME TRUE(以下、ドリカム)が登場。今月21日にデビュー25周年を迎えたドリカムのテレフォンショッキング出演は、実に「10年ぶり」という。吉田美和が「お話をいただく前日に、なぜかわからないけどタモさんのことを思い出して、『会いたいな』と思ってたんですよ。だからうれしいです」と話すと、中村正人も「置いてかないでよ。オレもタモさんの夢見た!」と張り合う。今はこんな感じで、タモリの取り合いになるケースがよく見られる。

キムタクとの雑談に終始した前日とは打って変わって、この日は『Mステ』司会者らしく、2人に音楽の話を振るタモリ。「ドリカムは細かいところまでホントよく作り込んでいる。いろいろ気になるんでしょ?」と尋ねられた吉田は「自分たちで最後まで全部やっちゃう。最近それが良くないのかもって」と返事。すかさずタモリが「対立とか生まれない?」と突っ込むと中村が「対立だらけですよ。特にメロディーなんて半音で争いますね。特に僕の書いた曲に関しては(吉田から)かなり文句が多い。任せる(ゴーストライター)は今、トレンドですけど」と笑わせる。

さらに中村から「某局で20年前に共演しましたよね」と声をかけられたタモリは、「あれ以来トランペット吹いていない。ドリカムとやれるなら最後にしようと思って」というエピソードを明かした。

その流れで2人からタモリに、「長い間お疲れさまでした」とトランペットのプレゼント。24金のツヤ消しタイプで、名トランぺッターがオバマ大統領の前で吹いたものと同じらしい。中村に「吹きたくなったら、飲んだついでにでも」と言われたタモリはニンマリ。音楽と酒を愛するタモリを理解した中村らしいコメントだった。

Ⅹ/100アンケートは、「今年桜を見に行った人」で、予想人数は美和にちなんで38人に。しかし、結果は42人で残念。続いて明日のゲストに福山雅治が紹介されると、ドリカムとのトークはあっさり終了。歌のプレゼントもタモリのトランペット演奏もなく、「あれっ」と思っていたら、CMをはさんで再びテレフォンショッキングの音が流れる。そう、今からレギュラー6人との1対1トークがはじまるのだ。

最後のリクエストは『髪切った?』

トップバッターは設楽統。お台場で生放送の『ノンストップ』を終えてから新宿に移動して出演し続けた設楽にタモリは「『遅刻して当然』のレギュラーって珍しい。30分で間に合うだろ? 何か途中でやってないか?」とイジられた設楽は「オレが途中でそばでも食ってるみたいじゃないですか。すみません」と笑う。さらにタモリは「オレはNHK(渋谷)からTBS(赤坂)まで12~13分で行かなきゃいけなくて、バイクで移動して間に合った。そういう覚悟がないんだよ!」と続けるなど、いきなりノリノリ。

続いて設楽が「人生の指針をください」と色紙を渡してリクエスト。タモリが真顔で「番組に臨むときにいつも考えています」と書いたのは、ひらがなの「い」。おそらく意味はなし。

2人目は日村勇紀。先週インフルエンザで『いいとも!』を休んだ日村に、タモリは思わず後ずさり。「オレ、最終日に休むとかできないから」と笑わせる。 日村のリクエストは、"テレフォンショッキングあるある"。「これ言ってもらっていいですか?」と出したフリップには『髪切った?』『これ貼っといて』の文字。このためにわざわざ髪を切り、自作の日村ポスターを用意するなど、芸人らしさを見せた。

似合わない帽子をプレゼント

3人目はローラ。タモリに向かって「ひさしぶりだね! 最後だから網の服を着てきたの。かわいいでしょ」と話し、マイペースを貫く。続く「ラストなのに寝不足で来ちゃったの。みんなにお菓子作ろうと思って夜中の3時までかかった。アマンディーヌっていうフランスのお菓子なの」という話をきっかけに、タモリ「あれオシャレだよね。でも作ったら食べ過ぎない?」、ローラ「そう~。おなかにポニョってついた感じ。太るからジムに行って筋肉つけてるの」。感傷に浸らないふだん通りのやり取りで、タモリを笑顔にさせた。

さらに、「タモタモさんはふだん帽子をかぶるから買ってきたの」とCA4LA(カシラ)の帽子をおそろいで用意し、二人でかぶってニヤリ。しかし、2つ目の帽子をタモリにかぶせると、「これは似合わなかったね~」でおしまい。最後までローラらしくやり切った。

4人目は大竹一樹。大竹が「以前、安産祈願を書いてもらってずっと飾ってたんだけど、神社に持っていって焼いちゃいました。本当のお札として扱っていた」と感謝されたタモリは「3人逆子を直した。直接触れて胎児に『逆さだよ』と言い聞かせる」と得意顔に。

大竹のリクエストは、「本当は一緒にお風呂入りたかったんですけど、写真撮ってもらっていいですか? お互いの顔を両手で持つ感じで……あとで『何だこの写真は?』というのを撮りたい」。続いて、「おんぶもいいですか?」と交互におんぶしてパチリ。大竹ワールド全開でシュール好きのタモリも楽しそうだった。

"中居監督"と"俳優タモリ"

5人目は澤部佑。リクエストは、「5月に子どもが生まれるので、名前をつけてほしい」。澤部は「奥さんにも了解を得ましたので。女の子の可能性が高いんですが……」とお願いすると、タモリが色紙に書いた文字は、再び「い」。澤部の「『澤部い』じゃダメですよ~」というボヤキで終了。若手らしく、短時間でしっかりイジられてまとめた。

そして大トリは中居正広。イスに座るなり、「いや~変な感じだな。照れくさいですね」と話しかけられたタモリも「知っててここに座られるのはホント照れくさい」と苦笑い。続けて中居が「僕もプレゼントいいですか? 急だったんで2千円。1万円じゃやらしいなと思って……好きなものでも食べて」とお金を渡されたタモリは、しっかり胸ポケットにしまいながら「刻みそば、食べる」とボケ返す。ノープランが問題どころか、むしろしっくりくる2人の呼吸が垣間見えた。

中居のリクエストは、くじけてしまったとき用のメッセージ。中居がマイカメラとBGMを準備して撮影スタート。「中居……」と言いながら笑い出すタモリに、中居が「カット」してNG。テイク2は「中居、頑張れ、大丈夫だ。なんとかなるって」とまとめた。もう1つ、調子に乗っちゃったときのバージョンは、「中居、調子に乗るんじゃねえぞ。足すくわれるぞ!」で一発OK。そこには、ごくたまに見る"俳優タモリ"がいた。

最後は「笑っていいとも! 火曜日 2014年3月25日(火)」と書かれた特大パネルの前に全員が集まって記念撮影。中居が「来週来ないのかな」と寂しがると、タモリは「オレは来るよ。みんなで集まろう」と宣言……しかし言いながら紙ふぶきを食べてしまい、笑いを取っていた。

残り4日間も、「タモリへの感謝を示すレギュラー」と「レギュラーの希望を何でも叶えるタモリ」の図式は変わらないだろう。終了後の楽屋では、どんな会話が交わされているだろうか。「このまま飲みに行きたい」という中居の気持ちも分かる気がする。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。