読売巨人軍の高橋由伸選手が24日、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」東大ハウス(東京都文京区)を訪問し、読売巨人軍が実施したチャリティーオークションなどによる寄附金の目録を贈呈した。病気の子供に付き添う家族のための滞在施設であるドナルド・マクドナルド・ハウスの取り組みと当日の詳細をレポートする。

「ドナルド・マクドナルド・ハウス」東大ハウスを訪問した読売巨人軍・高橋由伸選手(左)と同施設の弘中信治ハウスマネージャー

ドナルド・マクドナルド・ハウスとは

ドナルド・マクドナルド・ハウスは、病気と闘う子供とその家族が病院の近くに低料金で滞在できることが特長。「我が家から遠く離れた病院に入院する子供のそばにいたい」という家族の希望に応えるべく、日本全国9カ所に開設されている。世界では300カ所以上開設されており、日本での運営は「ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」が行う。

「『HOME AWAY FROM HOME』 我が家のようにくつろげる第2のわが家」というコンセプトのもと、ドナルド・マクドナルド・ハウスは患者の家族が自宅にいるようにゆったり過ごせるような環境に配慮。自炊ができるキッチンやリビング、個室のベッドルームなどを完備していながら、利用費は家族の負担を考慮し、1日当たり1人1,000円だ。

外観もきれいな「ドナルド・マクドナルド・ハウス」東大ハウス

アメフト選手への支援が、施設設立のきっかけ

ドナルド・マクドナルド・ハウスは1974年にアメリカで誕生した。あるアメリカンフットボール選手の子供が白血病を患い入院することになったが、その入院先の病院は家族から遠く離れた地にあった。経済的にも精神的にも苦痛を感じていた家族に救いの手を差し伸べるべく、病院近くのマクドナルドのオーナーらが募金活動を始めたことがその名称の由来となっているという。

我々がふだんハンバーガーを食べる「マクドナルド」を運営する「日本マクドナルド」は、長きにわたってドナルド・マクドナルド・ハウスをサポートしている。マクドナルド各店舗に設置された募金箱の寄附など、様々な形でドナルド・マクドナルド・ハウスの運営を支援している。

特に最近は、「スポーツを通じて、"気軽"に"楽しく"チャリティに参加できる環境づくり」に注力。スポーツ選手と一緒に寄附に取り組むことでその裾野(すその)を広げると同時に、幅広い人に継続的に寄附に参加してもらえるような環境づくりを目的とする。

高橋選手「役に立てていることを実感」

日本マクドナルドの理念に賛同し、積極的にチャリティーに貢献しているのがプロ野球チームの読売巨人軍だ。ホームラン1本につき、一定の金額をドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンに寄附したり、選手のサインが入ったユニホームをオークションに出品して売上金を寄附したり、東京ドームの試合では募金箱を設置したりしている。24日は読売巨人軍を代表し、高橋選手がドナルド・マクドナルド・ハウス「東大ハウス」を訪問した。

実際に施設の設備を見学し、施設を利用している家族らと触れ合った高橋選手は、「ホームランを打ったことが、本当に何かのお役に立てていることを実感しました。(3月28日から)プロ野球が開幕しますが、少しでも打ってお役に立ちたい。それでまた(利用者のご家族らに)元気になってもらいたい」と話した。

利用者の家族らと触れ合う高橋選手(左から2人目)

スポーツ界から「チャリティーの波」広がる

スポーツ界から寄附の呼びかけを発信するという動きは、既に広がりを見せている。1月14日には、Jリーグの川崎フロンターレに所属する中村憲剛選手らが、ドナルド・マクドナルド・ハウス「せたがやハウス」を訪問。ユニホームを用いたチャリティーオークションの売上金目録を寄附した。

2月23日には元Jリーガーの北澤豪さんが、「家族への想(おも)い」に共感して、寄附を呼びかけて寄附金を集める「ファンドレイザー」として東京マラソンに参加し、見事完走。マラソンを通じて多くの人にドナルド・マクドナルド・ハウスの取り組みを紹介し、寄附を呼びかけた。なお、この寄附金は3月31日の午後5時まで東京マラソンの特設サイトにて受け付けている。

ドナルド・マクドナルド・ハウス「東大ハウス」の弘中信治マネージャーは「他にもプロゴルファーの深堀圭一郎選手が、年間賞金額から一定の金額を寄附してくださっています。スポーツの力をお借りすることで、寄附や募金が増えていけばいいですね」と願う。

人々に夢を与え、多大な影響力を持つスポーツ選手とはいえ、一人で支援できる金額には限界がある。だが、スポーツやスポーツ選手を介してその支援の輪が多くの人々へ広がっていけば、支援は有限ではなくなる。

ドナルド・マクドナルド・ハウスへの募金箱は、マクドナルドの店舗だけではなく、読売巨人軍が使用する東京ドームの試合時や"小学生の甲子園"と称される「マクドナルド・トーナメント」、全日本少年サッカー大会をはじめとする各スポーツ施設や大会などにも設置されている。難病の子供を励ます家族らを支えるチャリティーの輪は、確実に広がっているのだ。