NTTドコモが提供する「dビデオ」は、会員数約400万人を超え、国内最大級の定額制動画配信サービス。国内外の映画やドラマ、アニメ、音楽、BeeTVオリジナル番組などの約18,000タイトルが月額500円(税抜)で見放題で楽しめるほか、2013年12月より個別作品のレンタルにも対応。さらに4月1日からは、キャリアフリー化し、他キャリアのスマートフォンでも視聴可能になる予定だ。
スマートフォンやタブレットでの視聴が基本となるdビデオだが、すでにパソコンでの利用にも対応しており、WindowsまたはMacのWebブラウザで視聴することも可能。とはいえ、dビデオの映画やドラマを、せっかくならテレビでじっくり楽しみたいと考えている人も多いかもしれない。
dビデオをテレビで視聴するための最も手軽で簡単な方法は、スマートフォンからHDMIケーブルで出力するやり方だ。しかし、HDMIケーブルには様々なタイプがあり、スマートフォンやテレビの機種によって利用できるケーブルは異なっている。そこで本稿では、dビデオをスマートフォンからテレビに出力して視聴するためのHDMIケーブルの選び方や注意点を解説するとともに、実際にHDMIケーブルを利用してみたレポートを紹介していきたい。
どれを選ぶべき? 様々なタイプが販売されているHDMIケーブル
スマートフォンとテレビをつなげるHDMIケーブルと一口に言っても、実際には様々なタイプのケーブルがあるため注意が必要だ。家電量販店のHDMIケーブルのコーナーに行ってみると、タイプやメーカーの異なるケーブルがたくさん売られている。
また、Amazonなどのオンラインショップにアクセスし、スマートフォン用のHDMIケーブルを検索してみた場合も、様々な商品が検索結果に表示される。そのため、どのタイプのHDMIケーブルを選べば良いのか迷う人も多いだろう。
スマートフォンとテレビをつなげ、映像や音声を出力できるHDMIケーブルを選ぶ際には、まず自身のスマートフォンとテレビでどのタイプのケーブルが利用できるかを見極める必要がある。HDMIケーブルの各タイプで異なるのが端子の形状だ。テレビ側につなげる端子は、標準サイズの「タイプA」となっているため、ポイントとなるのは反対側の端子の形状だ。
たとえば、micro HDMIポートを搭載しているスマートフォンの場合、接続できるのは「タイプD(micro HDMI)」の端子であるため、片側の端子がタイプA、反対側の端子がタイプDとなっているHDMIケーブルを選ぶことになる(画像A)。このタイプのHDMIケーブルは1,000円程度で購入できるものも多く、ケーブル1本でスマートフォンとテレビを接続できるのが特長。ただし、micro HDMIポートを搭載したスマートフォンは一部に限られている(画像B)。
画像A:片側の端子が標準サイズの「タイプA」、反対側の端子が「タイプD(HDMI)」となっているHDMIケーブル |
画像B:micro HDMIポートを搭載しているスマートフォンであれば、タイプDのHDMIケーブルを利用可能だ |
MHL対応スマートフォンはmicroUSBから出力が可能
自身のスマートフォンがmicro HDMIポートを搭載していない場合、次に検討するのは「MHL」を使う方法だ。MHLに対応しているスマートフォンであれば、充電やパソコンと接続する際に利用するmicroUSBポートから映像や音声を出力可能だ。
MHLを利用する際に注意すべきは、自身のテレビもMHLに対応しているかどうかだ。MHL対応のテレビであれば、片側の端子がタイプA、反対側の端子が「USB microB」となっているHDMIケーブルを利用可能だ。このタイプのケーブルの特長は、スマートフォンとテレビを1本でつなぐことができ、映像などを出力しつつスマートフォンを充電できる点。価格は数千円程度となっている。ただし、テレビ側がMHLに対応していない場合は利用できないので注意しよう。
なお、MHLに対応していないテレビの場合でも、MHL-HDMI変換アダプタや、MHL-HDMI変換ケーブルを利用すれば、MHL対応スマートフォンから映像などを出力できる。MHL-HDMI変換アダプタの場合、両端がタイプAの標準的なHDMIケーブルを別途用意し、利用時にはACアダプタなどで給電する必要がある。
これらをひとつにまとめたのがMHL-HDMI変換ケーブルであり、テレビ側に接続するタイプA端子、スマートフォン側のUSB microB端子に加えて、給電用の端子を備えている。給電用の端子の形状には複数の種類があるが、一般的なUSB端子の場合、テレビのUSBポートに接続して給電が可能だ。
MHL-HDMI変換アダプタとMHL-HDMI変換ケーブルは、テレビがMHLに非対応でも利用できるのが最大のメリット。加えて、給電が必要となるため少し面倒ではあるものの、同時にスマートフォンに充電できることも特長のひとつだ。長時間の映画をテレビに出力して楽しみたいときでも、スマートフォンの電池残量を心配する必要がないのが魅力的だ。価格はMHL-HDMI変換アダプタが1,000円程度、MHL-HDMI変換ケーブルが数千円程度となっている。
なお、MHLに対応したスマートフォンやテレビであっても、HDMIケーブルの製品によっては、端末に対応していなかったり、利用できない可能性がある。ケーブルの各メーカーのWebサイトでは、対応端末を明記している場合もあるので、購入前にチェックしておくと良いだろう。
実際にHDMIケーブル使って、dビデオを出力してみた
ここからは、実際に、スマートフォンとテレビをHDMIケーブルで接続し、dビデオを出力して視聴する方法を紹介する。使用したスマートフォンは、ドコモの「ARROWS X LTE F-05D」(富士通製)だ。ARROWS X LTE F-05Dは、micro HDMIポートを搭載しているため、両端がタイプAとタイプDのHDMIケーブルを使用した。
スマートフォンのmicro HDMIポートと、テレビのHDMIポートにそれぞれケーブルの端子を接続したら、次にスマートフォン側で設定を行う。本体設定画面から[マルチメディア]項目を開き、[HDMI設定]を選択。次に表示される画面で[HDMI]のチェックボックスをオンにすれば設定は完了だ。テレビ側ではとくに設定は必要なく、入力をHDMIに切り替えるだけでよい。
スマートフォンの画面がテレビに出力されるので、あとはdビデオを起動し、作品を選択して再生して、テレビの大画面で動画を視聴することが可能だ。
なお、動画の再生時には、画質を3段階から選択できるが、大画面に出力するため、最高画質の「すごくきれい」を選択するのが良いだろう。その際、ファイルサイズが大きくなるため、スムーズにストリーミング再生やダウンロードを行うためには、Wi-Fiで接続するのがおすすめだ。また、HDMIケーブルでテレビに出力し、動画を視聴していて気になったのは、スマートフォンの電池の減りだ。給電が行われるMHLであれば問題はないが、micro HDMIで接続するタイプのケーブルを利用する場合も、長時間の動画を視聴する際は、別途microUSBケーブルなどで充電しながらテレビに出力したほうが良いだろう。
iPhoneとテレビをHDMIケーブルでつなぐには?
これまでAndroidスマートフォンとテレビをつなぐ方法を見てきたが、iPhoneとテレビをHDMIケーブルでつなぎ、映像や音声を出力することも可能だ。iPhone 5s/5cなどのLightningコネクタに対応した製品の場合、Apple純正の「Lightning - Digital AVアダプタ」を使用することで、両端がタイプAのHDMIケーブルと接続し、iPhoneとテレビをつなぐことが可能だ。
Lightning - Digital AVアダプタには、HDMIポートのほか、Lightningコネクタも搭載されており、Lightningケーブルを接続することでiPhoneを充電しながら映像などを出力できる。なお、HDMIケーブルは自身で用意する必要があるほか、Lightning - Digital AVアダプタの価格はApple Storeで5,400円となっており、Androidスマートフォン用のアダプタやケーブルと比べると若干割高だ。
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本稿でも見てきた通り、HDMIケーブルを活用すれば、スマートフォンからテレビの大画面に映像を出力し、dビデオをはじめとする様々なコンテンツを視聴することが可能。ケーブルの購入時には、自身のスマートフォンやテレビに合ったタイプを選ぶ必要があるため、メーカーのWebサイトなどで事前に確認しておくのが良いだろう。
スマートフォンやタブレットで視聴するスタイルが思い浮かぶdビデオだが、自宅のテレビでも簡単に視聴できることがお分かり頂けただろうと思う。最適なHDMIケーブルを選び、迫力のある大画面でdビデオを思う存分、楽しんでほしい。