台湾XYZプリンティングの日本法人XYZプリンティングジャパンは18日、69,800円のパーソナル3Dプリンタ「ダヴィンチ 1.0 3Dプリンタ」を正式発表した。1月にラスベガス開催された家電展示会「2014 International CES」で展示された製品で、13日にビックカメラ直販サイトで先行販売、18日より店頭販売を開始している。
「ダヴィンチ 1.0 3Dプリンタ」は、熱溶解樹脂積層(FFF:Fused Filament Fabrication)方式のパーソナル3Dプリンタ。69,800円という低価格と、ユーザーが組み立てるのではない完成品としての提供が特徴だ。
精密部品OEM/ODMの生産ノウハウを活かし、開発や製造、販売を一貫して行うことでコストを抑え、税込69,800円という低価格を実現。4月の消費税増後も価格に変更はないとする。国内では2014年2月より楽天、amazon.co.jp、3月よりビックカメラ.comで発売済み。3月下旬からYahoo!ショッピングでも販売をする。
同日都内で開催された発表会では、XYZプリンティングジャパンの吉井宏之ゼネラルマネージャー、Sherry Liangマーケティングマネージャーが登壇し、3Dプリンタ市場参入の背景や製品の特徴などを説明した。
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「今が参入のベストチャンス」 - 強みはノウハウとサプライチェーン
XYZプリンティングジャパンの設立は2013年11月。台湾のXYZプリンティング本社も2013年7月設立と若い会社だ。母体は台湾の大手OEM/ODEメーカーKinpoグループで、従来プリンタを初めPC本体や周辺機器、精密機器などのOEM/ODM製造を手がけてきた。同グループの中では、XYZプリンティングが初めて3Dプリンタ市場に参入する。
吉井ゼネラルマネージャーは、「個人が自宅で製造できる3Dプリンタの登場で、ものづくりの流れが大きく変わる。自社にはOEMで培ったノウハウと、タイの生産拠点など独自で築いたサプライチェーンがある。今が参入のベストチャンスだと考えている」と力強く語った。
製品は2月に販売済みで現時点での販売台数自体は「100台、200台程度」と多くはないが、今後3年間で全世界100万台の販売を目指す。
デュアルヘッドでPLA素材対応の「2.0」、無線LAN搭載の「2.1」が年内登場
Sherry Liangマーケティングマネージャーは「ダヴィンチ 1.0 3Dプリンタ」の特徴を紹介。大きな特徴として、1)最大20cm×20cm×20cmの広いワークエリア、2)0.1から0.4mmまで可変設定できる解像度、3)ヘッドとプラットフォームの距離を調整する自動キャリブレーション機能、4)日本国内でのカスタマーサービス、の4点を挙げた。
特に国内カスタマーサービスは、他の3Dメーカーでは珍しい日本語サポートに対応したことを利点とし、実際に3Dプリンタを使う中で発生する問題に対応する体制を整えていくとした。
また、製品に3Dビューアーソフトウェア「XYZware」がバンドルされることも特徴の1つ。「XYZware」では、ズームや回転、サイズ調節、印刷品質の設定などが行えるが、オブジェクトの編集は不可。同ソフトは.STL形式のデータに対応するほか、独自のXYZフォーマットもサポートする。
ほか、18日現在で約500点の素材データが登録されている、XZYプリンティング独自の3Dデータ共有サイト「XZYクラウドギャラリー」も用意する。
製品の本体サイズはW468×D510×H558mm、重量は約23.5kg(フィラメント含む)。プリントヘッドはシングルへッドで、ノズル直径は0.4mm。プリントスピードは150mm/s。積層ピッチは0.1mm/0.2mm/0.3mm/0.4mmの4段階で調節可能。最大造形サイズは20×20×20cm。
インタフェースはUSB 2.0で、PCと非接続のスタンドアロン状態では駆動しない。対応素材はABS樹脂。対応OSはWindows 7以降、OS X 10.8以降。
発表会では、デュアルヘッド搭載でPLA素材・2色対応の「ダヴィンチ 2.0」、無線LANを搭載する「ダヴィンチ 2.1」が2014年内に登場することが明かされた。価格は「デュアルヘッドでコスト増は見込まれるが、現時点では未定」という。また、FFF以外の方式の3Dプリンタの製造も検討しているという。