インテルは3月12日、同社のつくば本社(茨城県つくば市)内に、コンピューティングを活用した新たしいユーザー体験の創造を目指し、業界関係者とのコラボレーションの場として活用し、将来のコンピューティングの利用モデルやコンセプトを、日本から世界へと積極的に発信していくという「インテル コラボレーション・センター」を開設した。あわせて同センター内で記者会見を開催し、施設の内容を公開した。
同センターは、21012年4月に新設した「インテル ヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センター」(新設時の記事はこちら)をリニューアルしたもの。今回はその機能を強化し、技術展示の内容も刷新、さらに日本のみならず近隣アジアをはじめとする国外の企業とのコラボレーションを目指す施設として生まれ変わった。
開設にあたり、テープカットをおこなう同社代表取締役社長 江田麻季子氏(写真中央)。アジアとのコラボも積極的にすすめたいと語っていた |
コラボレーション・センター内の様子。ディスカッションのスペースと、写真の技術デモの展示ブースがメイン |
なお、その前身となったヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センターでは、ハードウェアやソフトウェア開発者をはじめ、自治体や教育機関、エンドユーザーなど、100社、1,100名を超える訪問があったといい、将来のコンピューティングの利用モデルや、そのために必要とするテクノロジ等について活発な議論が交わされたという。
なおコラボレーション・センター内では、未来の技術のヒントとなるような、新しい技術を活用したデモンストレーション、業界各社とのコラボレーションによって生み出されたコンセプトを体験できるが、現在体験できるのは以下のようなもの。
- 車載プラットフォーム・コンセプト:LinuxをベースとしたTizenを用いた車載向けプラットフォームのテクノロジーデモンストレーション
- Intel RealSenseテクノロジー:より自然で感情移入できるユーザー体験を目指し、目や耳、音声、タッチなどのセンサや、感情などユーザー状況を理解する機能をコンピュータに取り込んでいくテクノロジーデモンストレーション
- Ethernet AVBデジタルスピーカー:デジタルオーディオデータと電力をEthernetで送信、ケーブル数の削減および低消費電力化を実現したスピーカー
- 次世代ナチュラルUI「視線入力」:自然な目の動きを用いた視線入力システムのテクノロジーデモンストレーション
- 医療向けフィンガー・ジェスチャー・ソリューション:知覚コンピューティングを医療用に応用した、新しいフィンガー・ジェスチャー・ソリューション
- ワイヤレス・ドッキング・マット:高速無線データ通信と共存したワイヤレス給電マットのテクノロジー・デモンストレーション
- 新サイネージ・プラットフォーム「デジタル・ガチャガチャ」:デジタル・サイネージ・プラットフォームの標準規格OPS(Open Pluggable Specification)を搭載したタッチ対応デジタル・ガチャガチャ・コンセプト
- クラウドとビッグデータを連携した新システム「みんなで Like it!」:ユーザーがデモ体験の印象をリアルタイムに発信し、データをクラウドで集約し可視化するシステム
- ON THE FLY PAPER:プロジェクション・マッピング技術を応用することで、紙とデジタルメディアの融合を図ったインフォテインメント・システム
- Olympus Media Glancer(MEG):ハンズフリーでいつでも視認可能なウェアラブルタイプのデバイスのテクノロジーデモンストレーション
- ラピッド・プロトタイピング:メーカー向けの開発プラットフォーム
- 自然光による静脈認証:1枚の掌画像から静脈パターンと掌紋形状という2つの生体情報を抽出し、認証を行う、掌静脈Hybrid認証システムのテクノロジー・デモンストレーション
- 手のひら静脈による本人認証:Ultrabookやタブレットにも搭載可能な超小型の非接触型手のひら静脈センサのテクノロジー・デモンストレーション
- 3D顔認証 FastAccess 3D:3Dカメラを使用した顔認証ツール
- リアルタイム超解像処理システム:Intel Xeon Phiコプロセッサを利用し、汎用なx86サーバ上でSD画像、動画をHDにリアルタイムに変換するシステムのテクノロジー・デモンストレーション
- QoEに基づくビデオ無線伝送:エンド・ツー・エンドの無線チャネル状態やデバイスの状態に応じて適応的にビデオストリーム伝送を行うシステムのテクノロジー・デモンストレーション
- 文字による動画チャプター検索:録画したビデオの視聴したい部分をキーワード検索し、所望の箇所にジャンプすることが可能なシステムのテクノロジー・デモンストレーション
- DaaS(Display as a Service)の新システム:複数の機器と複数のディスプレイを柔軟につないだ利用法を可能にし、ユニークな表示形態を可能にするシステム
- PALRO:コミュニケーション・パートナー・ロボットのデモンストレーション
- ワイヤレス給電:テーブル埋込型ワイヤレス給電システムのテクノロジー・デモンストレーション
Tizenを用いた車載向けプラットフォームの技術デモ |
年初のCESで発表したIntel RealSenseの3Dカメラを用いた3次元UIのデモ |
Olympus Media Glancer(MEG)は、ヘッドバンドやメガネに装着するなどして使うウェアラブルの表示デバイス。先端部から目に映像を照射することで像をむすぶ。デモではタブレットと無線接続し、その画面を表示していた。サイズはちょうど歯ブラシくらい |
Intel Xeon Phiを使うことでSD画像、動画をHDにリアルタイムに変換するデモ |
Xeon Phi無しだとコマ落ちしたりして処理能力が不足する感じに。リアルタイム処理の実現には大きなコンピューティングパワーが必要になる |
ほか、同センターの利用方法など詳細は、こちらの同社の発表ページを参照いただきたい。