米NVIDIAは12日(現地時間)、ノートPC向けGPUの新モデル「GeForce 800M」シリーズを発表した。新機能「Battery Boost」によって、ゲーミングノートPCの課題であるゲームプレイ時におけるバッテリ駆動時間を延ばすという。また、デスクトップ向けGPUで利用できた機能をノートPCでも利用可能とした。
ラインナップは「GeForce GTX 880M」「GeForce GTX 870M」「GeForce GTX 860M」「GeForce GTX 850M」「GeForce 840M」「GeForce 830M」「GeForce 820M」の7モデル。
このうち、「GeForce GTX 880M」と「GeForce GTX 870M」はKeplerアーキテクチャ、「GeForce GTX 850M」「GeForce 840M」「GeForce 830M」はMaxwellアーキテクチャ、「GeForce 820M」は28nmプロセスにシュリンクしたFermiアーキテクチャをベースとした製品となっている。
また、「GeForce GTX 860M」はKeplerアーキテクチャをベースとしたものと、Maxwellアーキテクチャをベースしたものの2種類が存在しており、それぞれCUDAコアの数やGPUのクロックが異なっている。各製品の仕様をまとめたのが、以下の表となる。ただし、製品名に"GTX"が付かない3製品についてはほとんど仕様が公開されていない。
■GeForce GTX 800Mシリーズ | |||||
モデル名 | GTX 880M | GTX 870M | GTX 860M | GTX 860M | GTX 850M |
---|---|---|---|---|---|
プロセス | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm |
アーキテクチャ | Kepler | Kepler | Kepler | Maxwell | Maxwell |
CUDAコア数 | 1536基 | 1344基 | 1152基 | 640基 | 640基 |
クロック | 954MHz + Boost | 941MHz + Boost | 797MHz + Boost | 1029MHz + Boost | 876MHz + Boost |
メモリクロック | 2500MHz | 2500MHz | 2500MHz | 2500MHz | 2500MHz |
メモリ容量 | GDDR5 4GB | GDDR5 3GB | GDDR5 2GB | GDDR5 2GB | GDDR5 2GB |
メモリバス幅 | 256bit | 192bit | 128bit | 128bit | 128bit |
対応機能 | Battery Boost GameStream ShadowPlay GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA SLI GeForce Experience |
Battery Boost GameStream ShadowPlay GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA SLI GeForce Experience |
Battery Boost GameStream ShadowPlay GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA SLI GeForce Experience |
Battery Boost GameStream ShadowPlay GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA SLI GeForce Experience |
Battery Boost GameStream ShadowPlay GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA SLI GeForce Experience |
■GeForce 800Mシリーズ | |||
モデル名 | 840M | 830M | 820M |
---|---|---|---|
プロセス | 28nm | 28nm | 28nm |
アーキテクチャ | Maxwell | Maxwell | Fermi |
CUDAコア数 | 不明 | 不明 | 不明 |
クロック | 不明 | 不明 | 不明 |
メモリクロック | 不明 | 不明 | 不明 |
メモリ容量 | GDDR3 2GB | GDDR3 2GB | GDDR3 2GB |
メモリバス幅 | 64bit | 64bit | 64bit |
対応機能 | GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA GeForce Experience |
GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA GeForce Experience |
GPU Boost 2.0 Optimus PhysX CUDA GeForce Experience |
ゲームプレイ時のバッテリ駆動時間を延ばす「Battery Boost」
さて、「GeForce 800M」シリーズのうち、製品名に"GTX"が付くモデルでは、ゲームプレイ時のバッテリ駆動時間を延ばすことができる「Battery Boost」という機能を新たに搭載する。
「Battery Boost」は、ゲームに合わせて設定を自動的に最適化する「GeForce Experience」上で利用できる機能で、主に2つの要素で構成されている。
1つ目はデスクトップ向けGPUでも利用できる「Frame Rate Target」で、フレームレートの上限をユーザーが設定して消費電力を低減する。「GeForce 800M」シリーズの「Frame Rate Target」では、設定したフレームレートに合わせてGPUのクロックや電圧も変化させ、より電力消費を抑えているという。
2つ目は「GeForce Experience」から、ACアダプタでの駆動時とバッテリでの駆動時異なる画質設定を保存し、切り替えられること。バッテリ駆動時にはより負荷を抑えた設定でゲームプレイをすることで駆動時間を延ばすという。ただし、ゲームプレイ中に自動的に設定が変わるわけではなく、ACアダプタを抜き差しした際にゲームを起動しなおさないと設定が有効とならない。
NVIDIAによると、「Battery Boost」によって従来と比較して最大2倍のバッテリ駆動し時間を実現するとしている。なお、「Frame Rate Target」はバッテリ駆動時のみに有効とできるほか、現状では個別のゲームタイトルに対して、異なるフレームレートを設定できないようである。
「ShadowPlay」や「GameStream」もノートPCで利用可能に
また、デスクトップ向けGPUで提供していたゲームプレイ中の動画を記録できる「ShadowPlay」や、PCでのゲーム画面をNVIDIAの携帯ゲーム機「SHIELD」へ転送する「GameStream」もノートPC向けGPUで利用できる。
GameStream。現在GameStreamに対応している受け手側の端末はSHIELDのみ。日本国内ではSHIELDが販売されていないので、残念ながら日本にはあまり関係のない機能となっている。Tegra Note 7あたりが対応してくれれば良いのだが…… |
「ShadowPlay」と「GameStream」については、3月末に提供予定のドライバにアップデートすることで、KeplerアーキテクチャベースのGeForce GTX 700MシリーズとGeForce GTX 600Mシリーズでも利用できるようになる見込みとなっている。
「GeForce GTX 800M」シリーズを搭載したゲーミングノートPCは、DELLのAlienwareや、GIGABYTE、Lenovo、ASUSTeK Computer、MSI、Razerといったメーカーから市場に投入される予定だという。