就職活動などの履歴書に貼る証明写真の写りの悪さに、がっかりした経験を持つ人は多いだろう。証明写真は履歴書だけでなく、運転免許証や社員証などにも使える大きさなので筆者も重宝しているのだが、なぜか自分が思っているよりも悪人面に写ってしまうことが多いのだ。
そんな"あるある"な悩みを解決すべく、「証明写真を撮影できるプリントシール機」が登場した。開発したのはプリントシール機業界最大手のフリューだ。4日に都内で開催された記者発表会で、実際に証明写真を撮影できる機能「FURYU BEAUTY STUDIO」を体験した。
盛りすぎず、きれいな「証明プリ」が撮れる
そもそもプリントシール機が登場したのは1995年頃のこと。その後は女の子の遊びとして定着し、2004年頃からは「写りの"美"を追求」するようになっていく。更に2006年頃からは「加工感を追求」した筐体が登場するようになり、いわゆる「盛った」写真が主流となっていった。しかし、2011年頃からはプリントシール機の流行が「ナチュラルさを追求」する方向に変わってきており、「ナチュラルさ」と「キレイさ」を両立するための技術が向上。これが、「証明プリ」への道を拓いたのだという。
「FURYU BEAUTY STUDIO」が搭載されるのは3月6日から稼働し始めた同社のプリントシール機「盛れる by cherry」だ。証明写真だけを撮影する機種ではなく、あくまでも従来型のプリントシール機における一つの撮影コースとしてプレイ可能となる。1回あたり約10分弱という時間は従来のプリントシール機と同程度だ。1種類6枚つづりの「証明プリ」がプリントされ、プレイ料金は1回400円(価格は設置店舗によって異なる場合があり)。月額315円で有料会員登録すると、携帯端末にも画像をダウンロードすることができる。
プロ並のカメラ、スタジオ、レタッチ機能が気軽に利用できる
「FURYU BEAUTY STUDIO」の強みとしてフリューがアピールするのが、「キレイさ・気軽さ・安さ」という3点だ。
プリントシール機というと、目を大きく加工したり、肌の色を極端に白く飛ばしたり、時には輪郭も変えてしまったりといった"盛る"機能が特徴的だが、同じ感覚で証明写真を加工しては"証明"にならない。プリントシール機と違って、証明写真はあくまでも"本人に忠実な写り"をしなければならないのだ。
そこでプリントシール機特有の加工感をなくす代わりに、これまで培ってきた独自の技術を駆使して、肌をキレイに見せる画像処理を施している。また、プリントシール機の筐体は、実際のスタジオを模した設計になっており、プロ仕様の一眼レフカメラが組み込まれている。ハード面とソフト面の両方で、最高の証明写真が撮れる環境が整っているというわけなのだ。
「FURYU BEAUTY STUDIO」は前述した通り、従来通りのプリントシール機「盛れる by cherry」のいちコースとして提供される。同社は今回の証明プリのメインターゲットとして、高校生から大学生くらいまでの女性ユーザーを想定しており、彼女らにとってプリントシール機と同じ感覚で撮れることは重要な要素だという。プレイ料金は1回400円。フリューによると、市場の証明写真は店舗での設定にもよるがおおむね700円~900円とのことで、かなり安価だ。
実際に「証明プリ」を撮影!
では実際に体験してみよう。
まずは「盛れる by cherry」の筐体に入り、画面をタッチして「証明プリモード」コースを選択する。するとカメラが起動して撮影がスタートする。撮影では「襟元をまっすぐにしましょう」「背筋を伸ばし肩を水平にしましょう」といったガイダンスや、頭のてっぺんからあご先一般的な証明写真機以上に細かなガイダンスが流れるので、戸惑うことはないだろう。撮影は4回行われ、その中から気に入った写真をひとつ選択する。このあたりの動作にすべて制限時間がある点もプリントシール機と同じだ。筆者は制限時間に慌ててしまい、ふざけて撮った4番目の写真をうっかり選んでしまったが、プリ撮影に慣れている女性であれば特に難なくこなせるだろう。
続いてレタッチモードに入る。レタッチといっても、顔の輪郭が変わるほど加工するわけではない。行うのは人物位置の調整や大きさ、背景カラーの選択、肌の明るさ、肌質、目の印象、髪の色などの微調整だ。「清潔感」「健康的」「華やか」という3つのイメージに一瞬で調整してくれる「一発レタッチ」機能もある。この中では「華やか」が一番プリントシール機に近い印象だが、本人らしさを失っているわけではないので、証明写真として十分使えるだろう。
今回はあえて「華やか」で加工してみることにした。元の写真でも十分キレイなのだが、「華やか」ではより目元が強調され、肌と髪色が若干明るくなる。かといって本人と違った顔になるわけではない。あくまでも"印象"の範囲内だ。このあたりのバランス調整が絶妙だと感じた。
レタッチが終了したら筐体の外に出て、印刷を待って終了。このへんの流れは通常のプリントシール機のものと同じなので、慣れている人なら何も問題ないだろう。できあがった証明写真は1シート6枚。肌の色や血色の良さなどは、たしかに一般的な証明写真機よりも好印象だ。
実際に体験して感じたのは、「証明プリ」の手軽さだ。筆者も昔はプリントシール機で写真を撮っていたこともあったが、最近ではさっぱり縁遠い存在になっていた。にも関わらず、ガイダンスに従って進めていけばすんなりと証明写真を作ることができたのだ。
「FURYU BEAUTY STUDIO」は女性がメインターゲットであるため、当面は「盛れる by cherry」内の機能として稼働する。しかし、「証明写真を安く綺麗に撮れる」というコンセプトは、きっと男性にもニーズがあるはず。男性でも撮りやすいような施設への設置など、今後の展開にも期待したい。