今月3月17日より米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されるGame Developer Conference (GDC)において、米Microsoftは同社の次世代グラフィックス技術「DirectX 12」の詳細を発表するとのティザーを公開している。GDCの同社によるスポンサーセッションの解説ページでは従来のWindows PCだけでなく、ゲーム機や、タブレット、携帯電話についての表記もあり、Microsoftのエコシステム全体を巻き込んだ技術構想の発表となりそうだ。
Micosoftの説明が行われるのは、GDCのスポンサードセッションとなっている3月20日午前10時(PDT、日本時間で21日午前2時)からのWindows Graphics担当開発マネージャのAnuj Gosalia氏の講演。タイトルは「DirectX: Evolving Microsoft's Graphics Platform」となっているが、前述のようにPCだけでなくゲーム機からモバイルデバイスまで広くカバーする内容となっており、その内容の中心はティザーサイトにもあるようにDirectX 12になるとみられる。2009年にDirectX 11が発表されてから5年となるが、久しぶりのメジャーアップデートがやってきた。
ここ数年、目立った活動もあまり見られずMicrosoftのコミットが停滞しつつあったといわれていたDirectXの世界だが、いくつかの情勢の変化が同社のDirectXでの活動を活発させ始めたと考えられている。1つが、AMDの発表した「Mantle」というグラフィックAPI構想で、PlayStation 4とXbox Oneという2つの次世代ゲーム機へのAPU導入実績を獲得した同社が、逆にこんどは据え置きゲーム機で開発を行っているデベロッパーらに対し、Windows上で同社のAPIやライブラリを活用してもらうという、DirectXの存在をスキップしてAMD以外の競合を実質的に排除するような攻勢に出始めたことだ。
またゲーム機ならびにPC市場は変化を続けており、昨今ではタブレットやスマートフォンなどモバイルデバイス利用の比重の高まりを受け、こうした分野も合わせてカバーしていく必要にMicrosoftが迫られていることにある。そのため、ティザーサイトに記されたロゴにはAMD、Intel、NVIDIAといったお馴染みの顔に加え、QualcommのSnapdragonのロゴがあしらわれている。MicrosoftはWindows PhoneでSnapdragonのみをサポート対象としており、今後はSurface RTなどのARM版タブレットにおいても同SoCが主軸になるとみられ、そうした戦略の一端がこのGDCのセッションでも示されるはずだ。