キヤノンのコンパクトシリーズ「PowerShot」シリーズから、光学でなんと30倍もの高倍率ズームレンズを搭載した「PowerShot SX700 HS」が登場した。これは、写真はもとより、動画撮影においても非常に魅力的な製品といえるだろう。機材をお借りしたので、さっそくレビューしていこう。
関連記事
キヤノン、34.8mm厚で30倍ズームの"動画も"デジカメ「PowerShot SX700 HS」(2014年2月12日)
摩天楼の夜景。きらびやかに立ち並ぶオフィスビル群の一棟。そのビルのひとつの窓へとカメラがズームしていくと、室内では怪しい男がある書類を探している……。そんな映画の導入シーンを見たことがあるだろう。たが、あにはからんや、観客を最短時間で映画に引き込むための手法も、私やこの記事を読んでくださる読者諸氏のような好事家は「すげぇ! こんなにズームできるの? 最大望遠で何ミリ相当なのよこのレンズ!?」ということにばかり目が行ってしまい、肝心のストーリーはそっちのけ……なんてことになりがちだ。
PowerShot SX700 HSを使っていると、これに近い感覚(というと少々大げさではあるが)を覚える。何しろ光学30倍だ。焦点距離でいえば25mm~750mm相当(35mmフィルム換算時)。高精細な画質を保ったままズームできる「プログレッシブファインズーム」を使えば、なんと60倍にもなる。また、デジタルズームではあるが、F値をキープしたままレンズ焦点距離を1.6倍もしくは2倍(選択可)に延長するデジタルテレコン機能も装備している。開放F値はF3.2-F6.9とさすがに低めではあるが、5軸手ブレ補正がしっかりと効いてくれることもあり、広角端から望遠端まで存分に使い切ることができる。