第37回日本アカデミー賞の授賞式が7日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、女優の真木よう子が最優秀主演女優賞(『さよなら渓谷』)と最優秀助演女優賞(『そして父になる』)を受賞した。
女優賞のダブル受賞は、第2回(1979年)の大竹しのぶ以来、35年ぶりの快挙。授賞式後に取材に応じた真木は、「状況がまだ把握できてないというか、ちょっと頭が真っ白な感じで。ただ、すごくありがたくうれしいです」と感謝の言葉を述べ、トロフィーを両手に持ちながら「すごく心地の良い重さです。(腕が)プルプルしてるんですけど」と笑顔を見せた。
「いろいろ考えます、おうちに帰ってから」と実感が湧かない様子だった真木。「あらためてしっかり頑張れよって言われているような気がします」と語り、「すごく華々しい舞台でこのような賞を2つもとることができてうれしく思いますし、これからも女優としてもっとがんばっていきたいと思います」と意欲を燃やしていた。
最優秀助演女優賞の発表時、「本当にまさかいただけるとは思わなかったので。すごく、ビックリしています。どうしよう…」と驚きの表情を浮かべ、「本当にありがとうございました…ありがとうございます」と口数も少なかったが、その後の最優秀主演女優賞では、「ほんっとうにうれしいです!」と弾けるような笑顔を見せた。
真木がそれだけ感情をあらわにしたのは、同賞受賞作『さよなら渓谷』の出演によって今後も女優業を続けていく覚悟が芽生えたため。発表前、司会の西田敏行からその話題を振られると、「現場のスタッフさんや一緒に共演したいただいた役者さんがすばらしい方ばかりでしたので、こういう組がまだ日本にあるんだったら、私はやめたくないと思わせていただいた」とその思いを語っていた。
芥川賞作家・吉田修一の同名長編小説を、『まほろ駅前多田便利軒』(2011年)の大森立嗣監督が映画化した『さよなら渓谷』。隣家で起こった幼児殺人事件をきっかけで、ある若夫婦に隠された忌まわしい過去が暴かれていく。真木にとって、『ベロニカは死ぬことにした』以来、7年ぶりの単独主演作となり、憎しみと愛情の狭間で揺れ動く女性の心理を官能的、かつ大胆な演技で表現した。