MMD研究所は3月6日、主要3キャリアのiPhoneおよびAndroidスマートフォン(以下、Android)を用いた通信速度調査の結果を公表した。同調査は、全国47都道府県の主要都市340カ所で実施したもので、主要都市のダウンロード平均速度で最速となったのは両端末ともにソフトバンクだった。

今回の調査は、2013年12月にMMD研究所が全国主要7都市140カ所で実施した、iPhoneおよびAndroidを用いた通信速度調査の続編にあたり、40府県200カ所を加えて、全国47都道府県の主要都市340カ所で行われた。期間は2月18日から3月1日まで。

調査に用いたのは、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの主要3キャリアのiPhone 5sおよび最新Android端末で、Android端末はドコモが「Xperia Z1 f SO-02F」、KDDIが「isai LGL22」、ソフトバンクが「AQUOS PHONE Xx 302SH」。通信速度の計測には「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを利用し、10時から19時の時間帯に同条件下で各端末3回の計測を行い、平均値を記録した。なお調査地点でのLTE化率は3キャリアとも100%だった。

47都道府県でのダウンロード平均速度はソフトバンクが最速に

結果を見てみると、まずiPhone 5sのダウンロード平均速度では、47都道府県340カ所平均でソフトバンクが27.59Mbps、ドコモが23.55Mbps、KDDIが20.79Mbpsとなり、ソフトバンク版のiPhone 5sが最も速かった。

47都道府県340カ所における各社iPhone 5s、Androidの通信速度

各社iPhone 5sのダウンロードおよびアップロード平均速度

また、各社のAndroidのダウンロード平均速度では、47都道府県340カ所平均でソフトバンクが27.80Mbps、ドコモが27.55Mbps、KDDIが22.67Mbps。iPhoneと同様に首位となったのはソフトバンクで、接戦でドコモが2位となった。iPhone、Androidともにダウンロード平均速度の順位は、ソフトバンクが1位、ドコモが2位、KDDIが3位と同様の結果になっている。

各社Androidのダウンロードおよびアップロード平均速度

このほか同調査では、各調査地点におけるダウンロード平均速度の結果を10Mbpsごとに6段階に区分けして、各社の通信速度の分布を調べた。それによると、まずiPhone 5sのダウンロード平均速度が20Mbps以上となった地点は、ソフトバンクが最も多く340カ所中246カ所で72.4%、次いでドコモが175カ所で51.5%、KDDIは161カ所で47.4%だった。

各社iPhone 5sのダウンロード平均速度別スポット数の分布

また、Androidでは、ダウンロード平均速度が20Mbps以上となった地点は、こちらもソフトバンクが最多となり340カ所中244カ所で71.8%、2位はドコモとなり218カ所で64.1%、3位はKDDIで170カ所50.0%という結果だった。

各社Androidのダウンロード平均速度別スポット数の分布

47都道府県でも強さを見せるソフトバンク、2位のドコモが追随

先述の通り、今回の調査は2013年12月に実施された全国主要7都市170カ所の通信速度調査の続編にあたる。調査地点を47都道府県に拡大したことで、どのような違いが出たか注目されるが、結果は前回同様にiPhone、Androidともにダウンロード平均速度はソフトバンクが首位となり、全国規模の速度調査でも強さを見せた。また、20Mbps以上のダウンロード平均速度が出た地点についても、前回同様にソフトバンクが3キャリアで最多となり、通信が最も安定していたと見ることができる。

ドコモはiPhone、Androidともにダウンロード平均速度が2位となり、前回と同様の順位だった。とりわけ、Androidのダウンロード平均速度では、ソフトバンクの27.80Mbpsに対し、27.55Mbpsを記録して接戦となっている。しかし、アップロード平均速度ではiPhone、AndroidともにKDDIを下回って3位という結果になっており、ダウンロードに比べてアップロードに不満が残る結果となった。

KDDIは、前回同様にiPhone、Androidともにダウンロード平均速度が3位だった。同社のネットワークでは、プラチナバンドである800MHz帯を利用したLTEのエリアの広さがアピールポイントだが、47都道府県での調査でもダウンロード平均速度は不本意な結果となった。また、20Mbps以上のダウンロード平均速度が出た地点についても、前回3位のドコモに敗れて3位となっており、今後の改善が期待されるところだ。

*  *  *

MMD研究所が実施した47都道府県主要都市における通信速度調査では、iPhone、Androidともにソフトバンクがダウンロード平均速度で首位となった。前回の主要7都市における通信速度調査に引き続いての首位という結果で、全国規模の調査でもソフトバンクが強さを見せた。これは同社が提供する「倍速ダブルLTE」やAndroid端末向けの「Hybrid 4G LTE」といったサービスが功を奏した結果と言える。

キャリア各社は春からの新生活シーズンに向けて、学割などのキャンペーンに力を入れているが、スマートフォンのキャリアを選ぶ際には、料金プランやキャンペーンだけでなく、各調査機関の通信速度調査も参考にするとよいだろう。