CCシリーズを使い倒してほしい
対談も佳境となり、岩本氏のCreative Cloudが導入されたことによるメリットが熱弁される一方で、鷹野氏からユーザー目線の鋭い質問が投げかけられ、現場とメーカーとのやりとりといった色合いが強まっていった。
岩本氏:Photoshopってユーザーの熟練度に最も幅があるソフトじゃないですか。画像加工をされる方は深く使っておられるけど、写真の色味の修正くらいにしか使わないという方もいらっしゃいます。クリッピングパスの切り抜きだとか、ボケ足の表現に効果的な方法でも意外と知られていませんよね。
鷹野氏:今回、画像のリンク配置に関する方法を紹介しようかと思ったんですが、会場の印象からすると印刷系の方々にはあまり必要ないのかな……という感じでしたね。Webデザイン業界では、待ってました!という機能ですが。画像抽出が追加されたから、とCCを使い始めた人もいますし。
岩本氏:それは嬉しいですね。
鷹野氏:あと細かいことですが、埋め込み配置とリンク配置は別メニューにするより、Illustratorと同じくダイアログパネルでのチェックで選ぶ形がいいと思います。
岩本氏:なるほど、参考になります。
セミナーというのはさまざまな方法を学んでいただける場だと思うんですが、来てくださる方は、実務に携わっている方のうち、ごく一部です。日本だと新しいバージョンにする理由に「壊れた」ですとか「他と合わせるため」というネガティブな内容が多いこととも関連があるのかもしれませんが、でも使えば絶対に便利になっていると思うので、情報サイトも参考に使いこんでほしいです。サポートセンターもたくさん活用してもらって。
鷹野氏:ただ、新しい機能はいいから今ある機能のバグを減らしてほしいと言う声もいつもありますよね。
岩本氏:はい。実は、アップデート時にかなり修正されてはいるんですよね……。CCになった時点で本社の開発環境も見直しされたので、機能強化だけでなく今まで以上に、バグフィックスについても取り組んでおり、その修正スピードも一部ではありますが早くなってきました。
鷹野氏:わかります。ただ、中にはなかなか対応されないバグもありますが、そういったものへの対応はどうなっていくのでしょうか。
岩本氏:(未対応のバグについては)優先順位をつけた上での判断で取り組んでおります。今後はさらに対応速度も上がるはずです。それが製品評価やユーザーの恩恵になるのであれば、会社としても積極的に取り組むべきことだと考えています。
鷹野氏:努力されていることは重々承知なんですが、それがユーザーにわかりづらいのが問題ですよね。新規機能と一緒に、改善点が一目でわかるバグフィックス一覧表があるといいんじゃないかな。僕らは普段から不明点が見つかると時間をかけてテストしていくので、一言でも「●●はできません」という説明があればそのテスト時間を減らせるんですが。むしろ、その分を回避方法を探す作業に充てたいんですよね。
岩本氏:英語版のテックノートにはあるので、のちに日本語ででも掲載されることは多いです。ただサポートページの奥の奥で見つけづらいんですが…。新機能のプッシュだけでなく、アナウンス済み機能のフォローもテックノートがローカライズされた時点で積極的に告知して行きたいと思います。
鷹野氏:Illustratorの機能が引っ越しした場合のお知らせ機能もほしいですね。InDesignやPhotoshopのような新規メニューを色分けする機能もあるとより使いやすくなると思いますよ。
ユーザー環境に沿ったCCの仕組み
鷹野氏:Tipsの話とは離れますけど、サポートって24時間体制にならないですか。仕事で使う以上、例えばアクティベーションのトラブルで夜中に連絡がつかないとなるとすごく困るんですよ。デザイナーは夜中に作業する人も多いから。
岩本氏:起動できなくなるってことですよね。実は、アクティベーションは一度行うと数日間有効になるので、一旦切ってネットに繋いでもらえば大丈夫です。CCからは、3台目のマシンにインストールすると、自動的に古いアクティベーションが切れて新しいPCで使えるようにもなりましたし。
鷹野氏:それは知らなかった、CC賢いですね。
岩本氏:CSまではアラートだけでほぼ対応が不可能だったんですが、企業だと導入本数も多く、原因のPCが見つからなくて困るとのご意見が多かったので…。CCではアクティベーションできる台数が2台(お一人で使うことが条件、同時起動は2台までOK)というだけで、インストールだけなら数十台はできますよ。
鷹野氏:教室などで困ってるユーザーさんも多いから、それはちゃんと言ったほうがいいですよ! あとアクティベーション関係で、カード払いだけなのは厳しいですよね。
岩本氏:そこは柔軟な対応をすべきだと僕らも思います。なので、少し前から月払いにも対応できるようなPOSAカードの販売を始めています。グループ版を購入される企業さんには販売店さん経由でお支払いいただける仕組みにしたり、徐々に日本の流通形態に合わせた方法を増やしているところです。
コミュニケーションを円滑にするCCの世界
鷹野氏:最後になりましたけれど、いちユーザーとして、CCができたのは嬉ばしいことです。ファイルをやりとりするたびにバージョンを確認するのは面倒だから、サブスクリプション型が便利だということはずっと思っていたことですし、(アドビ製品の)バージョンがひとつの世界になればいいと考えていたので。それに、新機能のプッシュが中心だったところに、バグ対応を重視する視点が加わってきたのも評価できることだと思います。
岩本氏:ありがとうございます。モリサワさんが「MORISAWA PASSPORT」の提供を始められてから、「PASSPORT」の一言だけでフォント内容がわかる環境に変わったように、CCか否かでコミュニケーションできる環境づくりが僕らの目標でもあるんです。CCユーザーもこれからは増えると思いますし、コミュニケーションも楽になってくると思いますよ。やはりメーカーとしては、最新版が最高の物にすべく開発しているわけですし、今後も「一番いいバージョンは?」と聞かれたらCCだとお答えできるよう努力していきたいと思います。
鷹野氏:そうですね。同じバージョンだとユーザー側からもバグ出しもしやすくなりますしね。
岩本氏:はい、なので、まだCCの最新バージョンに触れていない方にも、ぜひ無償の体験版を通じて、その進化をご自身で確認していただければと思います。今日はありがとうございました。