デザイナーたちの実務に新機能を
また、セミナー内ではCS5から搭載されているPhotoshopの機能「コンテンツに応じる」のデモも実施された。これによって、写真に写り込んだ必要のないオブジェクトを、高い精度で消去することができる。この機能についての会場の反応から、鷹野氏と岩本氏は、現場のクリエイターたちの作業環境について話を広げていった。
鷹野氏:「コンテンツに応じる」機能はまだ知らない方も多いようで、電線を消すデモを見せたら会場がどよめいていました。
岩本氏:確かに、我々が想定している形での活用はまだまだされていないと感じます。なので、こうしたセミナーなどでCSとCCの比較をしたり、機能やワークフロー自体の見直しを提案しているところもあるんです。でないと、人は誰しも手慣れた方法でゴールをめざしがちですし、バージョンが上がったことでできた「近道」を知らないまま、旧来の手法を使い続けたりするので。
鷹野氏:それはありますね。ただ、実務に使用している機能すべてを再検討することはとても無理なので、ある程度仕方ない部分はあるかと思います。セミナーで聞いたTipsだって、1~2個覚えて導入すれば多い方ではないでしょうか。
岩本氏:その通りだと思います。なので、最近はデザインツールの最新情報を掲載している弊社のオンラインコンテンツ「Adobe Design Magazine」を重要視しているんですよ。米国本社サイドからも、ユーザーにサンプルファイルを提供しようという流れがあるので、今後はサンプルファイルを使ったチュートリアルの仕組みもできていくと思っています。
鷹野氏:サンプル素材を作るだけでも大変ですからね。
岩本氏:ええ。印刷会社さんには、プリントテスト用のサンプルファイルはないかと聞かれることがすごく多いんです。それを踏まえて、新機能の習得についても、サンプルファイルが鍵になるように思っています。鷹野さんが運営されているWebサイト「DTP Transit」でも、ユーザーが触れるサンプルファイルがあるとより便利になりそうですよね。
鷹野氏:なるほど、そうですね。
Photoshop CCの新たな「3Dプリント機能」、ユーザーの反応は?
続いて、岩本氏からはPhotoshop CCの最新アップデートで追加された新たな「3Dプリント機能」について、鷹野氏に意見を聞く場面もあった。鷹野氏は、「面白そうだし、試してみたいですね」とひとこと。対談の場では、「Photoshop CC」で作成したデータをプロユースの3Dプリンタで出力した物も披露され、鷹野氏は「ここまでできるんだ」と驚いていた。
岩本氏: 3Dプリンタの世界的なブームもあって追加された機能ですが、IllustratorやInDesignにも、このように"CCにする価値"がある機能を追加していければと思っています。
鷹野氏:実際、この機能が実装されたことから、Photoshopに興味を持ったという方もいらっしゃいますしね。
岩本氏:はい、サブカルチャー系のユーザーさんを始め、反応があることは認識しています。Photoshopはデザイン業界内では普及している製品ですが、ニッチな3Dプリンタ市場とユーザーを繋ぐハブ的な役割も担えるのではないかと思っています。