三菱UFJ信託銀行が販売する、自分の財産を死後に計画的に家族へ継承することができる個人向け遺言代用信託『ずっと安心信託の』契約数が、2014年2月末時点で5万件を突破した。

『ずっと安心信託』は2012年3月に販売開始。近年注目を集めている人気信託商品「遺言代用信託」の先発商品となる。

「遺言代用信託」とは、委託者が自分の生存中は自分を受益者とし、死亡後は自分の子や配偶者などを受益者とするといった形で設定する信託のこと。高齢社会の到来を背景に貢献的な財産管理や遺産承継を目的とする信託商品への期待が高まり、2007年9月施行の改正信託法により法令上の整備が行われた。同商品は、このようなニーズに応えるために販売されたという。

同商品の信託期間は5年以上30年以内。運用方法は金銭信託5年ものによる合同運用(元本保証・預金保険制度対象)となる。利用者は、以下の3つの"安心機能"を自由に組み合わせることができる。

  • 安心1 : 利用者が自身の生活に合わせて、生活資金を「計画的に」受け取り

  • 安心2 : 利用者が亡くなった際に必要となる資金を、簡単な手続きで家族が「すぐに」受け取り

  • 安心3 : 相続後の生活資金を家族が「継続して」受け取り

「ずっと安心信託」利用例

同商品は販売開始後、2013年6月末には契約数2万7,000件数以上、2013年9月末には同3万5,000件以上となるなど順調に契約数を伸ばし、発売から2年足らずで契約数5万件を突破した。

「ずっと安心信託」の契約件数の推移

高齢社会を迎え「終活ブーム」などといわれる時代の流れにマッチし、大ヒット商品となった。好評の理由としては、以下の4点が挙げられるという。

好評の理由 その1 : 相続税制度改正を控え、相続意識が高まる

2015年1月の相続税制度改正では、基礎控除額が大幅減額となる。相続税の課税対象は、遺産から基礎控除額を減じた額となるが、基礎控除の減額により、従来は相続税がかからなかった遺産の家庭も課税対象となるケースが増える。これに伴い、課税対象となる被相続人はこれまでの約4%から、改正後には1.5倍の6%代程度まで拡大すると予想されている(内閣府資料「2010年度第17回 税制調査会 資料(資産課税)」) 。  

好評の理由 その2 : 最低預入金額は200万円から

同商品は、最低預入金額200万円(最高預入金額3,000万円)から始めることが可能で、低額から気軽に家族へ資産継承を行うことができる。日本消費者協会のアンケートによると、2010年度の葬儀費用の平均は199万円に上る。その事実と併せ、葬儀費用だけからでも簡単に相続準備を始められる商品として活用されている。

好評の理由 その3 : 管理報酬(手数料)無料

同商品では管理信託報酬が無料となっている。運用報酬については、3月・9月の各25日および信託財産交付日の前日に、金銭信託5年ものの運用収益から予定配当額(予定配当率と信託金の元本により計算される額)などを差し引いた額が支払われる。

好評の理由 その4 : 元本保証

三菱UFJ信託銀行が運用を行い、その運用益を顧客への利子等としているが、万一元本に欠損が生じた場合はこれが完全に補てんされる。


"終活時代"の大ヒット商品『ずっと安心信託』。同商品に対するニーズは今後も拡大しそうだ。