2014年4月9日でサポートを終えるWindows XPおよびOffice 2003ユーザーは、既に新しいPCを購入済みか、購入するPCを比較検討していることだろう。そんな中、日本マイクロソフトは改めて、最新PCへの買い替え促進を目的とした新しい取り組みを発表した。
3月3日に行われた日本マイクロソフトの記者会見では、同社執行役 コンシューマー & パートナーグループ オフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏が壇上に登った。宗像氏は「(Windows XPおよびOffice 2003のサポート終了に伴い)、PCの買い替え需要が増加している」とし、「XPマシンからの買い替え需要は、ビジネスだけでなくコンシューマーユーザーからの反応が強い」と現状を説明した(図01~02)。
既に多くのパートナー企業、PCベンダーが、Windows XPからWindows 8.1への移行プログラムを展開中だが、日本マイクロソフトは移行の流れをさらに強化・バックアップするため、「Office搭載パソコン乗り替えサポート窓口」を開設。ちなみに、既存のサポートプログラムは、利用開始日(ライセンス認証実行日)から90日間は無料サポートを受けられるが、それ以降は有料となる。
ただ、Windows XPからWindows 8.1への移行は、既存のサポートプログラムのルールにそぐわない。そこでWindows 8.1マシンの移行促進を促すために、今回の「Office搭載パソコン乗り替えサポート窓口」を開設したという。期間は2014年3月3日から同年5月31日の朝9時半から18時まで、専用Webサイトおよび専用窓口による電話対応を開始する(図03~04)。
図03 「Office搭載パソコン乗り替えサポート窓口」は、環境・データ移行の相談を受ける窓口として開設された |
図04 新設したWebサイト「Microsoft Office - Windows XPからWindows 8.1への乗り替え方法」 |
サポート対象となるのは、2014年3月3日から2014年5月18日までの期間に、Windows 8.1およびOffice 2013(エディションは問わない)搭載PCを購入し、現在Windows XPマシンを利用中のユーザーとなる。日本マイクロソフトのプレスリリースでも、Office 2013のプロダクトキーが必要と、正規ユーザーであることを強調しているように、あくまでも最新のWindows 8.1およびOffice 2013搭載PCの購入促進が目的だ。
専用Webページおよび専用電話窓口では、「Windows XPからWindows 8.1への環境、およびデータ移行方法」「Office 2013の初期設定、およびデータ移行方法」を、主な相談内容として受け付ける。
宗像氏は「機種依存が伴うような難しい部分は、一般常識範囲でナビゲートすることもある」と述べながらも、「いま使っているプリンタを新しいPCに接続する方法なども受け付ける」と、柔軟な対応を行うことを明らかにした。質問回数に制限は設けず、無償でサポートを受けられる(図05)。さらに、「OS/アプリケーションのバージョンアップ時とほぼ同等の対応スタッフを用意しているので、窓口が混雑しても十分に対応可能。コールが増えた場合はスタッフの数もフレキシブルに対応させる」と窓口対応に自信を見せていた。
エンドユーザーに対しては、「(併設した)Webサイトはエンドユーザーが戸惑わないようにするため、従来のテキスト解説に加えてビジュアル面を強化」したという。その上で「最初にWebサイトをご覧になって頂いてから、その上で不明点があれば窓口に電話をしてほしい」と述べた。
Windows XPからの移行を促すワールドワイドの取り組みも
また、日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows本部 本部長の藤本恭史氏も登壇し、Windows XPサポート終了に関する3つの説明を行った。1つはサポート終了に関する告知活動として、大阪や広島など5大都市で最新Windows 8.1マシンの体験イベントを開催するという。会場には大型ショッピングモールを選択し、藤本氏は「買い物のタイミングでWindows 8.1マシンに触ってほしい」と説明した(図06~07)。
2つめには、ワールドワイドでWindows Update経由による移行の注意喚起を行うことを明らかにした。3月9日の朝8時から1カ月ごと、Windows XPのデスクトップに移行を促すメッセージダイアログが現れるという。「OK」ボタンをクリックすると、Windows 8.1への移行説明を行うWebサイトが開く仕組みだが、ダイアログの起動を抑止するチェックボックスも用意されるため、それほど煩雑な存在とはならないだろう。
藤本氏は「メディアやイベントだけでなく、Windows XPユーザーに直接アナウンスするため、Microsoft全体で開始することが決まった」と、この施策を紹介した。記者会見ではメッセージダイアログに関する撮影は禁止だったため、後日、改めてこの機能を紹介したい。
日本のユーザーにはデータ移行ソフトを無償提供
3つめは、Laplink SoftwareおよびAOSテクノロジーズのソフトウェア「ファイナルパソコンデータ引っ越しeXPress」を、MicrosoftのWebサイトで無償公開する(3月中旬の公開予定)。同ツールは、2014年7月31日までの使用期限が設けられているが、Internet Explorerのお気に入りやホームページ設定、メーラーの送受信データやアドレス帳、メールアカウント設定、ドキュメントフォルダーなどのデータを、古いPCから新しいPCへと移行できる。さらに、一部アプリケーションの住所録データや、Windows OSの壁紙(背景画像)やデスクトップ環境、アカウント情報なども含まれるという。
同ツールを利用するには、LAN環境や、新旧PC同士をLANクロスケーブル(または専用USBリンクケーブル)で接続する必要があるというが、宗像氏によれば「USBメモリやUSB接続の外付けHDDも使用可能」だという。既に各パートナーメーカーから専用移行ツールやサービスが提供されてはいるものの、藤本氏は「移行ツールが手元にないユーザー向けに用意した」と理由を説明した(図08)。
日本マイクロソフトの関係者は以前から、「Windows XPマシンからの乗り替えを訴求する活動を行う」と、ことあるごとに述べていた。今回は最新PCへの買い替え促進であり、既存ユーザーに対するサポートではないものの、PCの買い替えに不安を感じているユーザーや、最新PCへ買い替えたが設定に悩んでいるユーザーにとって、有益なサポート体制となるのは確実だ。
阿久津良和(Cactus)