注文すると「食べきれますか?」と店長さんの確認が入った。「すごいボリュームですよ」と。「はい」と返事をした5分後、度肝を抜かれた。大ぶりな丼に3枚の巨大チャーシュー、分厚い豚の角煮、そして禁断のとんかつがドーンと乗っていて、麺が、麺が見えない!! 名付けて「三匹の子豚麺」、肉屋さんのラーメンの面目躍如である。
アクセス良好で新旧バランスがとれた街
不動産情報サイトSUUMOの「住みたい街ランキング」でも、人気急上昇中の川崎市武蔵小杉。神奈川県在住者を対象とした2013年ランキングでは横浜市に次いで第2位、鎌倉市をも凌(しの)いでいる。副都心線に乗り入れた東急東横線のほか、目黒線に停車、JRも南武線や横須賀線、湘南新宿ラインが通じており、交通の利便さが人気となった最大の理由だろう。
駅前は再開発されて高層マンションが林立するが、少し歩けば昔ながらの商店街が広がっており、新旧のバランスが絶妙。いかにも住み心地良さそうだ。そんな武蔵小杉を代表する商店街・法政通り南壱番街に、「三匹の子豚麺」を看板メニューとする「肉屋さんのラーメン家 生治ミート」はある。
腹ぺこ高校生のための究極の肉系
カウンター9席にテーブル12席のこじんまりとした店だが、ラーメンはこじんまりとは正反対。看板の「三匹の子豚麺」は3枚の特大チャーシューに分厚い角煮、更に禁断のとんかつ(肉120g)が載って、圧巻のボリュームである。
店前の看板にある“肉系最大級のラーメン”といううたい文句に偽りなしだが、もともとは地元の法政高校の腹ぺこ学生を意識して考案されたものだという。
考案者である店長の新(あたらし)秀澄さんによれば、店を経営する生治ミートは同じ武蔵小杉の町に店を構える精肉店。3年ほど前に「肉屋さんのラーメン家」の名で開店。「とんかつ麺」「角煮麺」など、肉系料理をトッピングしたラーメンをウリにしていたが、それらがおなかをすかせた近くの法政高校の学生や若いサラリーマンに好評だった。
「それならばいっそ、チャーシュー、角煮、とんかつと肉系トッピングの全てを載せてしまおうと‥‥。ご想像の通り、3種類の豚系を乗せているので『三匹の子豚麺』と名付けました」
「三匹の子豚麺」の圧倒的な迫力はまたたく間に評判となり、今ではラーメンマニアの間で“征服すべきラーメン”として認知されるに至っている。「昨年暮れにもテレビ局に出向いて『三匹の子豚麺』を作り、ラーメン好きという北川景子さんに食べてもらいました。『おいしい』と言ってもらえました」とうれしそうな新さんである。
麺の前に3種の巨大肉をやっつけろ!
「三匹の子豚麺」はまず、丼全体を覆った3つの肉系トッピングを食べないと麺にたどりつけない。チャーシューは口の中でとろける感じ、角煮は脂肪たっぷりで濃いめの甘辛さ、とんかつも柔らかくジューシー。恐るべき肉攻めである。
ノリ、そしてようやく肉の下から姿を現したモヤシ、メンマ、キクラゲ、そして麺までもが口直しのように新鮮に感じる。スープはあっさり系で、肉のこってり感を洗ってくれるようである。
格闘すること10分、健闘したがここまでだった……。ついに完食はできず、新店長に「ごめんなさい」と謝る結果となった。この肉系ラーメンに挑戦するのは絶対、究極の空腹時に限るべきかもしれない。
●information
肉屋さんのラーメン家 生治ミート
神奈川県川崎市中原区市ノ坪26