IP電話アプリ音質の進化を検証してみた! - SIM通

2013年10月30日にJ.D.パワーが発表した「2013年日本携帯電話サービス顧客満足度調査」によると「IP電話アプリ不具合を経験したことがある」と、答えた人の割合がキャリア通話よりも多いという結果が出ています。「通話アプリの音質って……」という話しは聞きますが、本当にそうなのでしょうか？今回はそれを検証すべく、IP電話アプリ「050 plus」の新旧バージョンで比較を行ないました。IP電話アプリの歴史を振り返るとともに、新旧アプリの性能比較レポートをお届けします

IP電話の歴史

日本におけるIP電話サービスの開始は意外と早く、10年ほど前の2003年から。それと時を同じく、スウェーデンにて「Skype社」が誕生しました。

「Skype同士なら無料で通話・チャットができる」というサービス内容がうけ利用者は爆発的に拡大しました。しかし、初期では不具合も多く、音がよくブツブツと切れ、音声が遅延し声の反響(ディレイ)もあり、電話の代わりとしては使いにくい状態。筆者自身、「無料で使う分にはいいけど、有料サービスを使うのはちょっと……」と感じていました。

出展：「2013年日本携帯電話サービス顧客満足度調査」図2

上の図は、J.D.パワーが行ったVoIP(通話)アプリとキャリア通話の比較アンケートの抜粋です。イメージだけでなく、実感値としても、「使えないかもしれない」という結果が出ています。しかし、果たして本当にこの通りなのでしょうか？

スマホ用IP電話アプリの実力は?

NTTコミュニケーションズの「050 plus」は、2011年7月にサービスをスタートさせた国内のスマホ向けIP電話アプリの先駆者的存在。今回はその「050 plus」の新旧アプリバージョンを実際に使ってみながら、PCのIP電話サービスが進化していったように、スマホアプリも進化しているのかを確認してみます。

今回のテストでは新旧それぞれのバージョンをXperia Z 2台に入れ、複数人でその通話品質を確認。なお、被験者には050からの発信と、050からの着信の両方を体験してもらいました。

調査項目は、J.D.パワーが行った「音声が割れたり、途切れたりする」、「通話が突然切れる」、「自分の声が反響する」といった内容に準じました。同じアプリのバージョン違いで品質の差は見られるのでしょうか?

※旧「050 plus」はVer.2.0.6(2011年末時点のバージョン)、新「050 plus」はVer.4.1.2(2014年2月24日現在の最新バージョン)です。被験者数は5名。キャリア通話時と比較し被験者の主観から、3項目のなかで最も近いものを選択してもらいました。

実際に使ってみての感想は？

実は今回のテストでは、「050 plus」から発信した際の違和感があったという声は新旧ともになく、「050 plus」からの着信時の調査結果を掲載しました。相手側の使っている電話機性能によって、声の通りやすさの違いがありますが、新バージョンで相手側の環境に左右されにくくなったといえます。

この日、初めて「050 plus」を体験したという女性は「旧バージョンは、音も小さく、自分の声が反響して通話が困難でした。でも、新しいバージョンは、『普通に電話をしている！』という感覚で、これで通話料金も安くなるなら嬉しい！バージョンが違うだけで同じアプリなんですよね？」と印象を話している。

前段にご紹介したJ.D.パワーのアンケート結果は、過去に使用したことのある、全ての通話アプリが対象だと考えます。「050 plus」の最新バージョンを体験すれば、そうした過去のイメージが変わるかもしれません。

IP電話のメリットと今後は？

電話代を節約するIP電話アプリのほかに、パケット通信代を節約するMVNO SIMも注目を集めています。ただしMVNO SIMの多くは、データ通信のみになっているため、通話は諦めがちです。しかし、「050 plus」のようなIP電話アプリと併用すれば携帯電話の通話と同じ感覚で発信も着信も使え、通話料金も格段に安くなります。

ちなみに、MVNOでも通話プランを提供しているb-mobileなどで通話プランを選択した場合、年数縛りによる契約が必要。しかし、「050 plus」などの契約には年数による縛りがなく、アプリをダウンロードすれば手軽に始められるのもポイントです。

また、通信容量が制限されているMVNOで心配されるデータ通信量も、1分間程度の通話で250KBと大変抑えられているので、通信容量を常に気にすることはありません。また、万が一低速制限が入った際も、少ない通信量で済むので、快適な通話を楽しめます。

スマホでは数多くの無料通話ができるアプリが沢山あります。今回調査した「050 plus」に関しては、この約2年半で通話品質が驚くほど進化していました。今後の更なる"進化”にも注目していきたいと思います。