国民栄誉賞を受賞した女優・森光子さんの知られざる一面を描くスペシャルドラマ『森光子を生きた女~日本一愛されたお母さんは、日本一寂しい女だった~(仮)』(フジテレビ系)が今春放送され、女優・仲間由紀恵が森さんを演じ、黒柳徹子がナレーションを務めることが27日、明らかになった。

森光子さんを演じる仲間由紀恵

2012年11月10日、満92歳でこの世を去った森さんは、舞台『放浪記』を2017回演じ、テレビドラマでの役どころから「日本のお母さん」として親しまれた。本作では、彼女の知られざる一面に焦点を当て、"お母さん女優"になる前の女・森光子の激情をあぶり出す。大阪の喜劇役者時代(26歳)から、『放浪記』で芸術祭賞を受賞(42歳)するまでに焦点を当て、「女性の幸せ」と「女優の幸せ」との間でもがく若き日の姿を描く。

この大役を受け、仲間は「日本人すべての母とも慕われ親しまれた森光子さんの役を演じることになり、大変光栄であると同時に身の引き締まる思いです」と気合十分。「女優としても女性としても偉大な大先輩の生きてこられた時代の背景や出演された作品などを、しっかり勉強して撮影に臨みたいと思います」と意気込んでいる。

一方、森さんとは親友の間柄だった黒柳は、「(台本を読むと)私がお会いする前の森さんについて、知らないことがいっぱいあって驚きました」とコメント。「大好きな森さんとのたくさんの思い出を胸に、心を込めてナレーターを務めたいと思います」と語りながら、「2000回を迎えた帝劇公演の後、もう一度『放浪記』の舞台に立っていただきたかった。そのときは、私もご一緒に、とお約束していましたのに!」と無念さもにじませた。

また、妻がありながら森光子の才能にほれる演出家・岡本愛彦役に藤木直人、演劇界の四天王の1人としてあがめられた人物で、森光子の女優としての才能を見いだした菊田一夫役に石坂浩二。そのほか、吉田名保美役を市川実和子、柳田武春役をケンドーコバヤシ、桂木コハル役を久本雅美が演じる。

『放浪記』第二幕第一場「カフェー・寿楽」の踊りを見せる森光子。左は1961年10月初演、右は2009年5月の最後の公演

藤木直人

石坂浩二