日本時間の2月24日、Microsoftから今春を予定しているWindows 8.1のアップデート関する概要が公表された。SkyDriveもOneDriveに改称し、いよいよ準備万端といったところだが、このタイミングでもアップデートの正式名称は明らかにされず、海外のWeb媒体では「Windows 8.1 Update 2014」や「Spring Update for Windows 8.1」など独自の呼称を使っているようだ。
まず、Windows 8.1 Update 1 (仮称、以下略)に関して少し復習してみよう。スペイン・バルセロナで開催されたモバイル関連展示会「Mobile World Congress 2014」において、Windows Phone担当バイスプレジデントのJoe Belfiore氏が行ったプレゼンテーションの資料にWidows 8.1 Update 1の特徴がまとめられていた。プレゼンテーションの模様はMicrosoftの「Windows Phone Blog」に掲載された動画で確認できる。
その中の一つ「1GB RAM, 16GB storage hardware support」は気になる記述だ。なぜなら、現在もWindows 8.1 32bitのシステム要件は「1GBのメモリ」「16GB以上のHDD空き容量」だからだ (64bit版はともに2倍の容量)。
つまり、システム要件の数値に変化はないのだ。Windows OSを長年使ってきた方ならご承知のとおり、これらの数値はあくまで"最小要件"であり、"快適な動作"を実現する数値ではない。Belfiore氏の説明から察するに、Windows 8.1 Update 1では"最小要件クラスのデバイスでも快適に動作する"ように改善される、と捉えてよいだろう。この改善はとりわけ、新興国向けのタブレットを量産するハードウェアベンダーにとってのメリットが大きいようだ。
もう一つのポイントは「New mouse UI for right-click(start) and close(apps)」だ。説明を聞く限り、スタートボタンに右クリック操作による新たな機能を加え、アプリケーションの終了も実行できるようになる。過去のレポート記事でも、変更点をまとめたとおりマウス操作が強化される。
Belfiore氏は「マウス/キーボードユーザーのため、タッチとデスクトップの橋渡しをするUI改善を進めている」と述べているが、Steven Sinofsky氏の指揮の下に生まれたWindows 8を "先祖返りさせている"という印象を持つのは筆者だけではないだろう。もちろん、今現在もWindows 8.1で原稿執筆や趣味のPCゲームを楽しんでいる筆者は、Windows 8.1 Update 1に加わる改善を歓迎する。陣頭指揮をとる人物によって方向性が異なることも理解できる。しかし、Windowsという一つのOSとして見た場合は、違和感を覚えることばかりだ。
Windows 8.1 Update 1ではそのほか、Internet Explorer (IE) 11においてIE 8との互換性を強化するなど、数多くの機能が加わるという。いずれにせよ、Windows 8.xの改善も大事だが、2015年リリース予定の"Threshold"ことWindows 9 (仮称)にも注力してもらいたい。
また、Bloombergの報道によれば、250ドル未満のデバイス向けに提供するWindows 8.1のライセンス価格を70%近く値下げしたとか。真偽を確かめる術はないが、Google Chrome OSなどライバルへのけん制が主な目的だろう。