米AMDは25日、組み込みアプリケーション用GPU「AMD Radeon E8860」を発表した。開発コードネームは"Adelaar"で、組み込み用GPUとしては初のGCNアーキテクチャベースとGPUとなる。製造プロセスは28nm。前世代製品と比較し2倍以上の性能を提供するとし、単精度の浮動小数点演算性能は768GFLOPS。
現行のデスクトップ向けのRadeon HDシリーズでも採用している同社最新のGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャをベースとすることで、従来製品比で性能を大きく向上させた組み込み用の新GPU。組み込みゲーム機、デジタル・サイネージ、医用画像、商用航空宇宙、軍事用途などの組み込みアプリケーションで3Dおよび4Kのグラフィックスを実現し、高い浮動小数点演算性能から地形図および天気図の作成、顔面およびジェスチャー認識、生体認証やDNA解析などの複雑な並列アプリケーションにも対応できる。
主な仕様は、SP数が640基、コアクロックが625Mhz。メモリは128bit接続の2GB GDDR5(メモリチップはGPUチップとともに1枚の基板に搭載)で、メモリクロックは1125MHz。TDPは37W。対応APIはOpen GL 1.4、OpenCL 1.2、DirectCompute 11.1。デコーダはUVD 4 for H.264/VC-1/MPEG-4/MPEG-2、エンコーダはH.264対応。映像出力はDP1.2、HDMI 1.4、ワイヤレス・ディスプレイ、ステレオ3D対応。
37.5×37.5mmサイズのFCBGAパッケージでの提供のほか、MXM(Mobile PCI Express Module)およびPCI Expressアドイン・ボードとしても提供する。ほか、業界最長という7年間の供給保証を行う。
米AMDのバイスプレジデント兼組み込みソリューション担当ジェネラル・マネージャーであるスコット・オイラー(Scott Aylor)氏は、「組み込みシステムにおけるリッチで臨場感のあるグラフィックスと高度な並列処理性能に対する要求が、かつてないほど高まっている」とし、そういったニーズにRadeon E8860は最適な製品であるとアピールしている。