インテルは、スペイン・バルセロナ市で2月24日から開催されている携帯電話のイベント「Mobile World Congress 2014」で、プレスカンファレンスを開催。同社のスマートフォン向け製品などを発表した。

具体的には、スマートフォン向け次世代AtomプロセッサとなるMerrifieldやLETモデムなどを発表された。また、これらを採用してスマートフォンやタブレットを製造する企業とのパートナーシップ契約についても発表が行われた。

スペインのプレスカンファレンスに登場したインテル社社長のレニー・ジェームズ氏

インテル社モバイルアンドコミュニケーションズ事業部のハーマン・ユール氏によれば、2014年はインテルのモバイルクライアントは4倍に増えるという

インテルのスマートフォン向けプロセッサは、Clover Trailでようやく軌道に乗ったが、それまで製品は発表したものの、採用メーカーが製品化をあきらめるといった状況が続いていた。今回のパートナーシップ契約は、複数年のものになっており、インテルとしては、ここでなんとかスマートフォン向けプロセッサの販売を本格的に広げたいところだ。

なお、インテルは、旧infinion社のモバイルモデムチップ(携帯電話ネットワークの通信に使われるデバイス。かつてはベースバンドプロセッサと呼ばれることもあった)の事業を買収しており、これまでのところ3Gでは製品採用の実績を持つ。しかし、LTE用モデムチップは昨年出荷を開始したばかりで、本格的なビジネスはこれから。3GやLTEなどの通信に使うモデムチップは、規格に準拠するだけでなく、事業者の認定などを取得する必要があることから、多額のコストや時間がかかってしまう。すでに、先行するQualcomm社などが本格的な販売を始めていて、インテルはこれを追う立場にある。

インテルがモデムチップを必要としたのは、低価格のスマートフォン向けSoCでは、モデム機能を統合する必要があるからだ。スマートフォンなどの普及は、先進国では一段落しており、大きなビジネスは新興国へ移りつつある。そこではセット価格で50ドル以下の低価格なスマートフォンがメインとなり、ハイエンドの製品の市場は相対的に狭まりつつある。そういう意味では、インテルもいずれは低価格なプロセッサを用意せざるを得ず、そのためにはモデム機能を自社で持つ必要がある。

2014年前半には、デュアルコアのMerrifieldが登場し、後半にはクワッドコアのMoorefiledが登場するという

Merrifieldのプロトタイプで64bit版Androidが動作しているところを紹介するユール氏

プロセッサ製品としては、22nmプロセスで製造されるMerrifieldが今年の前半、後半の製品となる。具体的な型番は、MerrifieldがZ3480となるという。マイクロアーキテクチャとしては、すでにタブレット用として出荷が開始されているBay Trailと同じSlivermontマイクロアーキテクチャを採用する。Merrifieldの強みの1つは、64bit対応である点。Atom系のプロセッサは、これまでデスクトップ向けのプロセッサには64bitモードが装備されていたが、タブレット向けでは、昨年登場したBay Trailが最初の64bit対応版となる。