強力なパブリックサービスをプライベートクラウドで活用できる
──CloudianとFileforceの出会いについて教えて下さい
本橋氏 2013年10月、インテルキャピタルが世界のベンチャー16社に出資を行いましたが、その16社の中に日本企業が2社含まれていました。それが、ウェイズジャパンさんと当社だったのです。その会議で、私と関根氏は初めて出会いました。 実は、FileforceはニフティやNTTコミュニケーションズのパブリッククラウドをバックグラウンドのストレージとして活用しています。このストレージは、どちらもCloudianで構築されているのです。 これはものすごい偶然でした。
関根氏 Cloudianに接続していることは知っていましたから、やっとお会いできたという印象でしたね。
本橋氏 そして、Fileforceはパブリッククラウドをストレージとして使っているので、プライベート環境で使えるかどうかテストしてみましょうという話になりました。パブリッククラウドで検証済みですから、もちろんテストはうまく行きました。そして、ユーザーの閉じた環境でも活用できるように、FileforceとCloudianを組み合わせてプライベートクラウドで提供することになったというわけです。
──CloudianとFileforceが連携することのメリットはなんですか?
関根氏 Fileforceは、様々なストレージやS3互換のオブジェクトストレージをバックエンドに使うサービスです。私たちはファイルを使ったり管理したりするためのサービスに注力し、ストレージの堅牢性や可用性といった部分を追求しようとは思っていません。そのため、Cloudianの持つ高度な堅牢性や可用性を、Fileforceのファイルマネジメントから使えるということは、非常によい組み合わせだと思っています。 ところが国内では、自社に閉じたプライベート環境で導入したいというニーズが根強く残っています。しかし私たちだけでは、オブジェクトストレージの持つさまざまな機能を提供することはできません。一方でクラウディアンさんは、その技術を持っています。
本橋氏 逆に私たちは、S3 APIまでは提供していますが、アプリケーションは持っていません。そのためユーザーから「確かにAPIは使いやすそうだけど、何に使うの?」と聞かれることも多いのです。そこでFileforceとの組み合わせを紹介すると、具体的に使い方や使い勝手が目に見えるため、すぐに理解していただけます。
また、Fileforceのバックエンドとして、NAS等のストレージ装置を使うということも可能でしょうが、バックアップをどうするか、故障したときにどうするのかという問題が残されます。Cloudianであれば、複数のサーバにデータを分散していますし、複数のデータセンターに分散することも可能です。その信頼性が、Fileforceとの組み合わせで生きてくるのです。 もう1つ、私がウェイズジャパンさんに感銘を受けたのは、「日本でやる!」と宣言されていたことですね。
関根氏 日本国内では私たちのようなサービスはまだ少ないので、市場はまだ大きいと考えています。グローバル展開も考えないではないのですが、まずは日本を中心としたアジア圏で展開したいと思っています。
本橋氏 海外にはCloudianとの接続性を確認済みのファイル管理のアプリケーションがありますが、それらを国内のお客様に紹介しても、採用にむけた動きは遅いという印象です。その理由は、日本でサポートを受けられないからです。ウェイズジャパンさんが日本発の企業だということと、この活動について伝えると、国内のお客様は安心してくれるんですよ。
関根氏 やはり日本企業は品質について厳しい目を持っているので、今後も「顔の見えるサポート」を提供していきたいと思っています。
日本のユーザー向けに顔の見えるサポートを提供
──国内ではやはりプライベートクラウドが主流なのでしょうか
関根氏 ある国内企業で、パブリッククラウドで実現したいが社内規程で禁止されているというケースがありました。担当者は、Fileforceの利便性もセキュアなことも理解しているけれども、会社として許可できないのです。歴史のある企業ほど、その傾向は強いようです。
本橋氏 個人情報を扱うクラウドサービス事業者から、パブリッククラウドを使えないお客様がいるので、同じサービスをプライベートクラウドで提供したいという要望がいくつもあります。
関根氏 プライベートを好む傾向にはありますが、実際には企業によってまちまちのようですね。高度な個人情報を扱う企業でも、私たちのセキュリティ機能を信頼して任せてくださるケースもありました。
本橋氏 私たちは、ハイブリッド環境が主流になると考えています。例えばFileforceは、パブリックでもプライベートでも使えます。ユーザーのニーズに合わせてどちらも選択できるのです。すべてのクラウド系アプリケーションは、そうした使い分けができるようになると思っています。
──今後の展開を教えて下さい
本橋氏 FilforceとCloudian、サーバマシンを別々に購入するのではなく、できるかぎりユーザーが導入に困らないような形で提供したいと思っています。具体的には、ハードウェアにあらかじめ搭載してアプライアンス化し、ネットワークに接続すれば簡単に使えるようなものを考えています。
関根氏 ソフトウェアを意識することがない、ソリューションパッケージみたいなものです。
本橋氏 そもそもFileforceは、パブリッククラウドで簡単に使えているものですから、プライベートクラウドになったら急に難しくなるというのは避けたいのです。
──ウェイズジャパンが考えるファイル管理の理想像とはどのようなものでしょうか
関根氏 現在、多くのビジネスパーソンは複数のデバイスを持っています。そして多くの人が、常に「あそこにある、あのファイルを、このデバイスで使いたいのに」という不満を持っています。
私たちは、そうした課題をクラウドで解決したいのです。私たちのサービスで一元管理することにより、場所や端末を意識せずに、いつでもファイルを便利に使えるという世界を目指しています。