米Intelは24日、スペイン・バルセロナで開催されるモバイル関連展示会「Mobile World Congress (MWC) 2014」で、「Merrifield」「Moorefield」(いずれも開発コード名)という名で知られるスマートフォン向けSoC「Atom Z3400」シリーズと「Atom Z3500」シリーズを発表した。「Atom Z3400」シリーズは2014年前半、「Atom Z3500」シリーズは2014年後半のリリースを予定する。

モバイル向けプロセッサのロードマップ

どちらの製品シリーズも、CPUコアに22nmプロセスで製造する「Silvermont」(開発コード名)をベースに開発を行う。同じ「Silvermont」を採用するタブレット向けSoC「Atom Z3700」シリーズ(開発コード名:Bay Trail-T)との違いは搭載するGPUで、「Atom Z3700」ではIntel独自の統合GPU「Intel HD Graphics」を搭載するが、「Atom Z3400」と「Atom Z3500」ではImagination TechnologiesのGPU IPである「PowerVR Series 6 Graphics」を採用する。

「Atom Z3400」と「Atom Z3500」の概要

Intelによると、「PowerVR Series 5 Graphics」を採用する「Atom Z2500」シリーズ(開発コード名:Clover Trail+)と比較して、2倍のグラフィックス性能を備えるとしている。

「Atom Z2500」(Clover Trail+)比で2倍のパフォーマンスを見込む

「Atom Z2500」(Clover Trail+)「Atom Z3400」の仕様

また、1080p/60fpsでのエンコードやデコードが可能なほか、Googleのビデオコーデック「V8」でのエンコード/デコードをハードウェアで対応するという。このほか、OpenCLやRenderScriptの対応も特徴として挙げられている。

カメラや動画まわりの機能もBay Trail-T同様に強化されている

「Atom Z3400」と「Atom Z3500」の主な違いは、CPUのコア数や搭載GPU、対応モデム、対応メモリで、「Atom Z3400」は2コアでGPUに「PowerVR G6400」を統合するほか、150Mbpsのデータ通信が可能なIntel XMM 7160に対応する。一方の「Atom Z3500」は4コアでGPUに「PowerVR G6430」を統合、モデムはIntel XMM 7160に加え、Intel XMM 6360、後述する新製品のIntel XMM7260に対応する。

「Atom Z3400」と「Atom Z3500」の違い。緑の部分が「Atom Z3500」で追加となる個所

より明確に違いを表したのがこちら

また、Intelは「Atom Z3400」シリーズ製品である「Atom Z3480」によるベンチマークテストの結果も公開。競合となるQualcomm製プロセッサ搭載製品やApple製品との比較を行っている。

「WebXPRT 2013」によるWebブラウジングやWebアプリケーションのパフォーマンス比較。Atom Z3480はSnapdragon 800比でおよそ2倍、Apple A7と比較しても優位に立っているという

Androidによるメディア編集のパフォーマンスを図る「MobileXPRT 2013」でも、Atom Z3480はSnapdragon 800を上回る性能だという

「BatteryXPRT 2014 CP1」でのバッテリベンチマーク。より少ないバッテリ容量ながら、Atom Z3480はSnapdragon 800搭載機に比べて長時間駆動が可能だという。ただし、Intelのリファレンスモデルの詳細が不明なので、そのまま比較結果として受け取ってよいかは検討の余地がある

「GFXBench 2.7」による3Dグラフィックスの性能比較。Atom Z3480ではSnapdragon 800に遅れを取っているが、Atom Z3500シリーズでは逆転できるという

Atom Z3480では64bitのAndroidアプリケーションも動作可能だとして、32bit版と64bit版のパフォーマンス比較も公開している

LTE Category 6対応のLTEモデム「Intel XMM 7260」も合わせて発表

Intelでは「Atom Z3400」シリーズと「Atom Z3500」シリーズに合わせて、LTEモデムの新モデル「Intel XMM 7260を発表した。Intelでは現在、150MbpsのLTE Category 4に対応したIntel XMM 7160を提供している。この製品はすでにSamsung Electronicsやlenovo、DELL、ASUSTeK Computerの製品に採用されているという。

Intel XMM 7160の概要

新たに発表した「Intel XMM 7260」は、300MbpsのLTE Category 6に対応し、投入する国の市場に合わせてLTE FDD/TDD、WCDMA/HSPA+、TD-SCDMA/TD-HSPA/EDGEなどの複数の通信形式を構成できる。

Intel XMM 7260の概要

「Intel XMM 7260」を採用した製品は2014年第2四半期から提供される予定だとしている。