東芝は、高画質映像の無線通信に必要な高速無線LAN機能と、大容量のデータを一時的に保存するためのNAND型フラッシュメモリを統合したアプリケーションプロセッサ「TZ5000シリーズ」を発表した。5月からサンプル出荷、9月から量産出荷を開始する予定だ。
TZ5000シリーズは、セキュアブートシステム制御・暗号化データ機能に対応する「TZ5001MBG」と、非対応の「TZ5000MBG」で構成される。いずれも、次世代高速無線LAN規格のIEEE802.11acのベースバンド・エンジンと、CPU、32Gbit NAND型フラッシュメモリを1パッケージに内蔵しているのが特徴だ。これらを1パッケージ化したことで、各部品を別々に実装していた場合に発生していたデータ転送時の帯域制限が緩和され、各部品を専用線で接続することによる広帯域接続を実現。加えて実装面積が削減されるので、機器の小型化にも貢献するとしている。
また、内蔵するNAND型フラッシュメモリには、このシステムに最適化された専用のNANDコントローラを搭載。これにより、NAND型フラッシュメモリに格納したOSなどのプログラムを高速起動したり、高速アクセスを可能としている。さらにプログラム領域をパッケージに内蔵することで、データの改ざんやハッキングに対しても強い構造となり、セキュリティ上の有効性も高めている。
このほか、TZ5000シリーズは独自の低電力設計を採用しており、HTML5など負荷の大きいマルチメディア対応アプリケーションの実行時に消費電力や発熱を低減できる。
TZ5000シリーズの主な仕様は以下の通り。Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac 2x2 MIMOベースバンド・エンジン(Ensigma C4500)を内蔵、フラッシュメモリは32Gbit MLC NANDを内蔵、CPUはDual-core ARM Cortex-A9 MPCore / NEON ~1.2GHzを搭載、GPUはPowerVR SGX540、VPUはPowerVR VXD395、画像エンジンは1080p@60fps Multi Format Decoder、IPC、Scalar、Rotator、Composerを採用、高速I/OはDDR3/3L/LP-DDR3、USB OTG、SDIO、HDMI、MIPI、CSI/DSIとなっている。