経済産業省はこのほど、3Dプリンタが生み出す付加価値と、今後のものづくりの方向性を考察した「新ものづくり研究会」(座長:新宅純二郎東京大学大学院経済学研究科教授)による報告書を発表した。

同報告書は、3Dプリンタをはじめとする付加製造技術は、デジタル製造技術の1つのツールであるとし、デジタル化やネットワーク化という潮流の中で捉えるべきと提言している。また、この付加製造技術は、その方法により「精密な工作機械(付加製造装置)」としての発展可能性と、「個人も含めた幅広い主体のものづくりツール」の2つの方向への発展可能性があるとしている。

今後、付加製造技術の経済効果は、2020年時点には全世界で約21.8兆円に拡大すると予測。内訳は、装置・材料等の直接市場が1兆円、製品市場が10.7兆円、製造等の効率化によるものが10.1兆円と推計している。

しかし、現状において日本は欧米に比べて立ち後れており、今後の発展から取り残される恐れがあると指摘。例えば、3Dプリンタの累積出荷台数(1988~2012年)における日本企業のシェアは3.3%にとどまっているほか、日本の繊細な製造ノウハウが活かせる装置になっていないなど、日本企業にとって不便な状況に置かれているという。

1988年~2012年累計の3Dプリンタ出荷台数シェア。販売価格USD5,000以上が対象(出所)Wohlers Report 2013(出典:経済産業省Webサイト)

報告書は、競争力強化に向けて、戦略的な方策を検討することが「急務である」とし、産学官挙げた取り組みが重要だとしている。