帝国データバンク(以下、TDB)は20日、小売・サービス6業種(自動車小売、菓子・パン小売、外食、酒場等、男子服小売、婦人・子供服小売)について、消費税増税が純粋に企業業績に与える影響度を分析し、その結果を発表した。
同調査では、同社の企業財務データベースCOSMOS1(72万社・480万期収録)をもとにした『全国企業財務諸表分析統計 第56版』(TDB)、1995年以降の「家計調査」(総務省)、2012年「経済センサス」(総務省・経済産業省)を用いて、分析した。
それによると、消費増税に伴う価格転嫁がまったく実行できなかった(価格転嫁率0%)場合、今回対象の全業種で営業赤字に転落する見込みとなった。5割転嫁の場合は、自動車小売、菓子・パン、外食、酒場等、婦人・子供服小売の5業種が営業赤字、男子服小売が黒字になると予測している。
消費増税を要因とした家計支出の消費減退率を見ると、最も高かったのは酒場等で2.18%減。TDBは「価格転嫁・値上げは必至」と見ている。次いで、外食が1.62%減、男子服小売が1.48%減、婦人・子供服小売が0.80%減、自動車小売が0.16%減となった。一方、菓子・パン小売は0.86%増となり、わずかながら消費は上向くと見込んでいる。
TDBは、これまでのデフレ傾向による価格競争などで、「今後の価格転嫁による実質値上げに踏み切れる企業は中小企業を中心に多くはない」と見ており、価格転嫁ができない場合は収益性を改善する必要があるが、企業側にその余力があるか疑問が残るとしている。