ソニーはこのほど、ハイレゾ録音に対応したICレコーダー「PCM-D100」についての記者向け説明会を開催した。説明会では「PCM-D100」の製品紹介に加えて、アナログレコードをデジタルで録音するデモを行った。

「PCM-D100」は、CDを超える音質を持つ、2.8MHz/1bitのDSDや192kHz/24bitの非圧縮リニアPCMでの録音が可能なハイエンドICレコーダー。2013年11月21日より販売開始し、価格はオープン、推定市場価格は100,000円となっている。

「PCM-D100」

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本機の特徴はDSD記録を行えることだが、DSDとは、CDより高音質な規格であるSACD(スーパーオーディオCD)に採用されているデジタル音質記録技術のこと。サンプリングレートが、CD(44.1kHz)の64倍となる2.8MHzで、原音(アナログ波形)に近い形で音を記録可能とされている。

「PCM-D100」では、本体上部に新開発の大口径15mm専用マイクを採用。周波数特性がフラットになるようマイクの外装部分を細くするなど、試作を繰り返した結果、開発者によれば「ハイレゾにふさわしい広帯域の音をひろえるマイクになった」という。

本体上部に新開発の大口径15mm専用マイクを搭載

また、DSDおよびPCMでの録音を実現するために、ADコンバーターはDSD用とPCM用をそれぞれ搭載。兼用にせず、それぞれの録音モード専用としてADコンバーターを使用することで、各モードに特化した性能を発揮できるよう設計している。

「PCM-D100」を分解し、内部構造を説明

今回の説明会では、「PCM-D100」の開発を担当したソニーの橋本高明氏が登壇。同製品の活用法として、アナログレコードをDSDで録音するデモを行った。今回のデモに至った経緯として、同氏は「PCM-D100」を展示した際に「音が良いのはわかったけど、どう使ったらいいのかわからないという声が多かった」とし、その回答としてアナログレコードをデータで保存する活用法を提案していると語った。

ソニー ホームエンタテインメント&サウンド事業本部 V&S事業部サウンド 1部商品設計4課 橋本高明氏

説明会では、アナログレコードを外部入力で「PCM-D100」に録音。44.1kHz/16bitのリニアPCMとDSDでそれぞれ録音した音声ファイルを比較した。ソニーの橋本高明氏は、「音の変化は音源によって差がある」としていたが、今回のデモではDSD方式の方がより音の余韻が残り、広がりのある音になっていた。

今回のデモで利用した機材

最後にソニーの橋本高明氏は、「レコード愛好家には、プレイヤーに針を下ろすなど、レコードを再生する行為そのものが好きな人も多い」としつつ、それでも「20年前のレコードや、最新のレコードを普段からカジュアルに聴きたいという一定のニーズはあると思う」と本機の意義を語った。