2014年度の企業の賃金動向見込みと、過去2年の見込みと実績

帝国データバンクはこのほど、「2014年度の賃金動向に関する企業の意識」について調査の結果を公表した。同調査は、毎年1月に実施し、今回で9回目。全国の2万2,834社を対象に1月21日から31日にかけて実施。有効回答企業数は1万700社、回答率は46.9%となった。

過去最高の改善見通し

「2014年度の企業の賃金動向」について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与・一時金の引き上げ)が「ある(見込みを含む)」と回答した企業は4,970社で、構成比は46.4%となった。これは、2013年1月に実施した前回調査を7.1ポイント上回り、2006年1月の調査開始以降で最高の見通しとなった。また、「ない」と回答した企業は29.0%と前回調査を3.3ポイント下回った。

「ある」を業界別にみると、「建設」(49.2%)、「卸売」(48.5%)、「製造」(47.2%)が高かった。特に「建設」は、前回調査を11.4ポイント上回った。地域別では、全地域が4割を超え、特に「北海道」「中国」「北陸」「四国」では前年より10ポイント以上増加した。

2014年度の企業の賃金動向見込み、と昨年の見込みと実績(企業規模、業界、地域別)

賞与での賃金改善に期待

2014年度の正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が34.0%となり、「賞与(一時金)」は同27.8%となった。前回調査と比べると、それぞれ2.0ポイント、6.8ポイントの上昇となっており、特に賞与で賃金改善を実施する企業の増加が目立った。

「ベースアップ」か「賞与」か賃金改善の具体的内容、最近3年の見込み

中小企業についてみると、ベースアップ、賞与ともに前回調査を上回り、大企業より割合が高くなった。リーマン・ショック前の2008年度見込みでは「ベースアップ」が41.5%、「賞与」が23.1%だった。それが、リーマン・ショック後の大幅な落ち込みのあと、2013年度、2014年度見込みと2年連続で上昇した。

業界規模別「ベースアップ」か「賞与」か賃金改善の具体的内容、最近3年の見込み

前向きな姿勢も見られるが、厳しい見方を持つ企業も

賃金改善が「ある」と回答した企業4,970社に理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「労働力の定着・確保」の57.2%だった。続いては、「自社の業績拡大」(50.2%)となり、ともに5割を超え、4月に実施される「消費税率引き上げ」は23.8%と4社に1社が挙げた。また、「物価動向」は、前回調査から10.4ポイント増加したほか、「同業他社の賃金動向」は5.5ポイント増加した。

賃金を改善する理由、最近3年の見込み(複数回答)

賃金改善が「ない」企業3,106社に複数回答で理由を尋ねた。結果「自社の業績低迷」が58.0%で、前年調査より8.9ポイント減少し、7年ぶりに6割を下回った。2位の「消費税率引き上げ」(24.7%)は、改善が「ある」企業の理由と同程度で、対応が分かれる結果となった。また、「自社の業績低迷」を規模別にみると、「大企業」の53.4%に対し、「中小企業」は59.3%と、5.9ポイントの開きがあった。

賃金を改善しない理由、最近3年の見込み(複数回答)