伊達政宗の娘が……給仕
「歴女」という歴史に熱中する女性の増加などからもわかる通り、世はまさに歴史ブーム。いや、ブームというより、そんなカルチャーが定着した感すらある。そんな中、萌え文化の発祥の地・秋葉原で戦国と萌えが融合した戦国メイドカフェなるものがあるとの情報をキャッチ。
……ん? 歴史と萌え?? そんな対極にある存在の組み合わせなんて、まったく想像がつかないぞ。うむ、これは己の目で確かめなくてはならぬ。ということで、件の戦国メイドカフェ&バー「もののぷ」にいざ出陣!
伊達政宗の娘(の設定? )の伊達ひめかちゃん。アニメと声優をこよなく愛する401歳(!?) |
東京・秋葉原にある「もののぷ」店内。織田家や上杉家、真田家などの家紋が記されたのぼり旗があらゆるところに掲げられる |
店内は一般的なメイド喫茶とは違い、のぼり旗やもののぷの城主であるという「萌田(もだ)のぷ長」の甲冑があり、見事に戦国の雰囲気を再現(?)。かと思えば、さすがバーを名乗るだけあり、アダルティなバーカウンターも設けられている。すごいぞ、素敵だぞ、アンバランスだぞ!!
内装を物珍しく眺めていると、
「おかえりなさいませ! お館様!! 」
と快活な声。てか、お、お館様? 平民である記者をいきなり一国一城の主に仕立て上げてきたのは、笑顔がとっても見目麗しい和風美少女・伊達ひめかちゃん。伊達ってまさかあの独眼竜の……?
「そうです。私は伊達政宗の娘なんです(キリッ)。他にも織田信長、明智光秀、斎藤道三、加藤清正ら名だたる戦国武将の娘がこのお城では給仕していますよ! 」
そ、そうなんですね……。それは謁見賜り光栄の限り。
お館様となって豪遊せよ
見回してみると、確かにご給仕し奉るお姫様はみな本当に美少女ばかり。さすがやんごとなき身分のお方たち。されど、ここは飲食処。肝心の料理の味は如何に!? ということで鳴子を手に「たのも~」と叫び、要するにデミグラスソースオムライス的な「信長包囲網黄金飯」(1500両)と「毛利元パフェ」(1200両)の抹茶味をオーダー。あ、ちなみにこのお店の通貨は"両"ですぞ、1両=1円ですぞ!!
では黄金飯をいざ実食! こ、これは……ウマイぞ!! 見た目の華やかさに負けず、味もトロリとした玉子とチキンライスがよく絡む。パフェは生クリームにアイスクリーム、オレオ、ポッキーでデコレーションされてボリューム感もなかなか。料理のクオリティも大名クラスと言って過言なし!
金の茶室に"両"の通貨、戦国の雰囲気をさらに体感
他にも豊臣秀吉の黄金の茶室をモチーフとした豪奢な座敷があったり、姫君たちのコスチュームがメイド服と羽織ものをミックスして萌え全開だったりと、戦国感と萌えが見事に混ざり合い、うむ、げにおもしろき。
ところで、なぜこのようなコンセプトの店がオープンしたのだろうか。店誕生の経緯を店長の角谷和洋さんに聞いてみた。
「色んな種類のメイド喫茶はありますが、戦国とメイド萌えの組み合わせは他でやっていなかったので、これはウケるんじゃないかと思いました。やるからには徹底的に、ということで、小ネタとして厠(トイレ)を回転ドア式にしたり、通貨単位を"円"でなく"両"にしたりして、とことんお館様方に楽しんでもらおうと。物珍しいのか、外国のお館様のご帰城の割合も、他のメイド喫茶より多いですね」。
さらにメイドさんと指相撲やにらめっこなどのゲームを打ち興じられるメニューや、メイドさんにライブリクエストすることもできる(いずれも別料金)。「ライブは盛り上がりますよ! お店ではオタ芸を打つ方もかなりいるのでスゴイです。それを目当てにご帰城されるお館様もいるくらい。私はアニソンや声優ソングの振りもコピーしますので、リクエストいただいたら全力で歌って踊っちゃいます」(伊達ひめかちゃん)。
姫ともあらせられるお方にそんなに張り切ってもらうのは恐悦至極だが、おそらく店内は合戦ばりの熱気を帯びるのだろう。
正室もゲットできる? 目指せ、征夷大将軍!
「ちなみに当お城は会員制で、初回に入場手形というポイントカード(500両)を作っていただき、ご帰城される回数に応じて、足軽組頭、足軽大将、侍大将、家老、大名と位が上がっていくんです。最後に征夷大将軍となって天下を取られたら、当お城のメイドを一人正室・側室にできますよ」(角谷店長)。
帰城中限定とはいえ、こんなカワイイ姫様を娶ることができるなんて! これは通ってしまう殿方の気持ちもわかりますぞ。
また、他にも戦国もののアニメやゲームとコラボレーションしたり、季節の行事でコスチュームを少し変えたりして、常連のお館様にも楽しんでもらえる工夫もしているのだとか。2月10日~16日のバレンタイン企画では、なんと、メイドからの告白があるかもしれないのだとか!
「当店は、もちろん歴史に詳しくなくても楽しめます。今年は大河ドラマ『軍師官兵衛』も話題となっていて、世間は再び戦国時代に注目してますので、これを機にアキバで戦国時代をもっともっと盛り上げていきたいですね」(角谷店長)。
戦国と萌えでアキバの天下を取ろうってんですね! 「もののぷ」が萌え文化の風雲児と呼ばれる日も近い!?
(文・A4studio武松佑季)