9 to 5 Macが調べたiPhone向けサプライヤの資料から、Appleが次世代iPhoneでサファイアクリスタルのディスプレイを採用する可能性があり、さらにその製造ペースが年間で1億300万~1億1600万程度を見込んでいることが判明したという。これは2013年度のiPhone販売台数の1億5000万に及ばない水準だが、非常に興味深い動きだといえる。

同件は9 to 5 Macが2月6日(米国時間)に報じている同誌は昨年2013年末ごろ、AppleのiPhone/iPad向けに部品を卸しているあるサプライヤが、米アリゾナ州都フェニックス近郊にあるメサに従業員700人規模の製造工場を建設しているという話を報じている。この会社はGT Advancedで、スマートフォンなど小型機器向けのサファイアクリスタルを製造しているようだ。サファイアクリスタルといえば、iPhone 5以降のデバイスでカメラレンズのカバーとして採用され、iPhone 5sではTouch IDのセンサーを保護するホームボタンの素材として用いられた。傷がつきにくく、ダメージに強いという点が特徴の1つだといえる。掲載された人材募集要綱から同工場は2月中にも稼働を開始する見込みなのだという

そして今回9 to 5 Macが最新資料をまとめて紹介したところによれば、同工場では1月上旬にサファイアクリスタルの検査機械を搬入しており、これが比較的大型のサファイアクリスタルの板を加工、検査に利用されるとみている。

もちろん同社の製造ラインがすべてApple関連のものとは限らないものの、現在の同社の活動内容に関する報告書を紐解くと、その製造活動はほぼAppleを中心にまわっているということで、これら機械がAppleの次世代製品に用いられる可能性が高いというのだ。

そして、ここで導入される機械はカメラレンズのカバーやホームボタン向けの小さいパーツというよりもむしろ、5インチ以下のディスプレイパネルに用いられる部材である可能性が高いようだ。そしてラインに導入された製造設備の生産能力をまとめると、パネル部材の年間製造ペースは1億300万~1億1600万程度になると、同誌では算出している。

もっとも、前述のように2013年度(2012年10月~2013年9月)のiPhone販売台数が1億5000万台であり、2014年度から2015年度はさらに増加すると考えると、このアリゾナ工場での製造枚数では実際の需要には追いつかない。「他の工場でも生産が行われている」「ハイエンドなど一部ラインでの利用に限定される」といったことを勘案すれば順当な数字の可能性もあるが、このあたりのミスマッチが気になるところだ。