洋画の字幕と吹替、どちらが好きですか?

現在の洋画は、字幕版と日本語吹替版が同時上映されたり、DVD&Blu-ray版では自由に切り替えが行えるなど、視聴スタイルを選択できるようになっている。実際のところ、どちらの需要が多いのだろうか。そこで、字幕が好きな人と吹替が好きな人の割合を調べるため、アンケート調査を実施してみた。

Q.洋画の字幕と吹替、どちらが好きですか?

字幕 61.0%
吹替 36.2%
その他 2.8%

字幕が好きな人の意見

■声を含めて俳優の演技が見たいから
・「その俳優本人の演技が見たいので」(29歳女性/医療・福祉/専門職)
・「吹替の場合、たまに俳優さんの実際の声とイメージが違う場合があるから」(29歳女性/団体・公益法人・官公庁/秘書・アシスタント職)
・「役者さんの声が聞けるから…吹替だと、微妙に違うことを言っていたりするから」(24歳女性/アパレル・繊維/事務系専門職)

■英語で聞きたい
・「聞き取れる単語と翻訳されている日本語を見てこんな訳になるのかという発見を楽しみたいから」(31歳女性/医薬品・化粧品/技術職)
・「俳優さんの本当の声を聞きたいし、字幕の方が多少は英語の勉強になるかとおもって」(28歳女性/情報・IT/営業職)
・「吹替より、言語のニュアンスで聞き取った方が話が分かる」(25歳男性/情報・IT/技術職)

吹替が好きな人の意見
■映像に集中したい
・「字幕を追っていると、映像の細かい部分を見落としてしまうから」(24歳女性/小売店/販売職・サービス系)
・「聞いているだけでも話がわかるから」(29歳男性/ソフトウェア/技術職)
・「字幕の文字でなく、演技者や映像をしっかり見たいと思うから」(29歳女性/医薬品・化粧品/事務系専門職)

■言い回しなどの点で、吹替が好き
・「吹替の方が、トーンやテンションが高かったり、訳で言い回しが今っぽい若者の言葉で話してたりするので面白かったりするし、字を読まなくてよいので、楽」(40歳女性/マスコミ・広告/事務系専門職)
・「字幕は結構適当な気がする」(31歳男性/マスコミ・広告/事務系専門職)
・「臨場感を強く感じられる…字幕は音声の外国語と日本語が混在するため、どうしても違和感を感じる」(33歳男性/その他/その他)

■その他
・「吹替で字幕にしたい…ニュアンスの違いを見たいから」(31歳女性/アパレル・繊維/販売職・サービス系)
・「英語は大体わかるのでそのまま聞きたいが、他の言語は全く理解できないので吹替の方が疲れない」(55歳男性/学校・教育関連/事務系専門職)
・「字幕は本人の声を楽しみたい、アニメは吹替で楽しみたい」(27歳男性/運輸・倉庫/その他)

■総評

アンケートの結果、字幕が好きな人は吹替派の2倍だった。字幕・吹替、両側からたくさんの意見が出てきたが、実際に訳すとき、どのような違いがあるのだろうか? 翻訳の専門校フェロー・アカデミーで映像翻訳を教えている、プロ翻訳家の中沢志乃さんに話を伺った。

中沢志乃さん

中沢さん「字幕は1秒4文字、吹替は俳優の口に合わせて訳しますので、基本的には吹替の方が、たくさんの内容を盛り込めます。また、字幕は書き言葉ですが、吹替はまるっきり話し言葉になりますので、字幕では『~してられねえ』と訳したものを吹替では『~してらんねえ』と訳したりもしますね。

字幕は"見て分かりやすく"、吹替は"聞いて分かりやすい"訳です。例えば字幕なら『multiple sharp force injuries』は『鋭器損傷』と訳しても漢字を見てわかりますが、吹替なら『鋭利な刃物による損傷』の方が聞いて分かりやすいかもしれません。

これらの特徴を踏まえて、訳してみるとそれぞれ下記のようになります。

原文:
Perfect. And if nobody wants you sitting at their table, you think they want Chummy Buttons here?

字幕:
最高じゃん

お前がNGなら
こいつはブッブーだろ?

吹替:
マジかよ お前が拒否られたなら、大親友のコイツなんか絶対アウトだろ

字幕を"読む"労力が要る、理解するまでに間があると感じられる字幕は、いい字幕ではありません。映画を見た後に、字幕があったことに気づかなかったような字幕がいい字幕だと思います。

吹替は、セリフが口と合っているか、というのもありますがやはり違和感なく、俳優がもともと日本語を話しているかのように感じられるのがいい吹替なのだと思います」

字幕と吹替、それぞれに特徴があり、翻訳者の工夫が光っている。映画を見るときには、上記の内容を意識してみるとまた違う視点で内容を理解することができるかもしれない。

※その他、翻訳ビジネスの常識についてはこちらのページをチェック!

調査時期:2013年12月27日~12月29日
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:男性239名 女性261名 合計500名
調査方法:インターネット(ログイン式)アンケート